丁寧に現物を抜いた。ほぼ降りたと言っていいだろう。瞬間粘るならダブルワンチャンスのに手がかかってもおかしくなかったが、

もしそうしていれば、寿人の勝負手に捕まっていた。
放銃は回避したとはいえ、跳満の親被り。パイレーツがトップじゃなくなったと言えば聞こえはいいが、6位の格闘倶楽部に抜かれてしまっては元も子もない。まだまだ厳しい展開が続く。
【東4局】
ボーダー争いの為にも、ここでパイレーツの連荘は避けたい黒沢だが……

小林がWポン。

チーであっという間にテンパイ。
しかし黒沢も負けてはいない。

ここにきてセレブ発動!赤が二枚にドラも含んだ勝負手だ!黒沢の選択は……

打!!
下家の小林に打ちにくい、
、
全てを切らずに手を進める一打だ。放銃してしまえばアガリがない以上、ここは慎重に打牌を選んだ。セレブは時にわがままであるが、決して自身の手牌に溺れないのだ。

しかしこの局は小林がアガリ。黒沢の勝負手は実らず。
【東4局1本場】
それでも徐々にセレブのエンジンがかかってきたか。

4巡目でを引き、一気に形が引き締まる。

ここから悠々と切り。タンピンめがけて一直線だ。

次巡引き。シャンテン数は一手の後れだが、234の三色まで見えてきた。

次巡を引いて、
切り。これは意外に感じられた。もちろん瞬間カン
が入れば嬉しいのは事実だが、仮にそれを逃したとしても
と
の広いイーシャンテン。タンピンや三色のキーとなる
を切るイメージがなかっただけに、理由を聞いてみたいところだ。

を暗刻にし、
を引いてリーチ!四枚見えだがマンズの下の景色は悪くない。

小林の追っかけを受けるも、互いにアガリは発生せず流局。
【東4局2本場】
供託2本の2本場。この局、先手を取ったのはパイレーツ小林。

ターツ選択を見事成功させ、先制のテンパイ。平和。待ちのダマテン。
この手は引きで高め一気通貫、ドラの
を引いても
と入れ替えられる。さらには供託も2本落ちているためアガる事自体の価値が高い。リーズナブルなダマテンだ。

そこに追いついたのが寿人だ。
赤とドラのを従え、カン
待ちの即リーチ。

同巡。黒沢が一発で寿人の入り目のを掴む。寿人の捨て牌的にも本命臭の漂う
。しかし自分の手もかなりの勝負形だ。黒沢の選択は……

切り!
自分の目からドラが一枚しか見えていないため、寿人のリーチへの評価がそこそこ高く、さらに本命のを一発目に掴んでしまっては受けざるをえないと言った所だろうか?
そしてこのは寿人の入り目であると同時に小林のロン牌。黒沢が見事な守備力で放銃を回避した。

2巡後。黒沢もを引き入れてテンパイ。
は相変わらず打ちづらい牌だが、
は寿人の現物だ。一旦打
で
単騎に構えるかと思いきや、

黒沢の選択は打でのカン
!せっかく暗刻だった役牌を一枚リリースし、しかも待ちの枚数も
単騎と変わらない。
選手がこういう一見不可解な選択をした時は、必ず卓内に理由がある。
今一度卓内の様子を良く見てみると……

親番の小林が寿人のリーチに一発で無筋・ドラ跨ぎのをプッシュしていることが分かる。さらにこの小林の捨て牌、
を対子落としした後に、
の両面ターツ外しが入っており、相当進行度が高い事が伺える。
黒沢は小林に危険なを打ってまで
単騎のテンパイを取るのはリスクに見合わないと判断したのだろう。より安全にテンパイを取るために、打
を選択した。
繰り返しになるが、このように黒沢のセレブ打法は自分の手の価値が高くない時の守備力も素晴らしく、鉄壁と言ってもいいほどだ。まさに「金持ち喧嘩せず」という感じだが、このような受けの選択を今局のような18300点持ちの三着目でも行える所に、黒沢の胆力を感じずにはいられない。ただ高打点を目指して攻めるだけではそれはセレブでは無く「成金打法」。黒沢のように胆力ある受けができてこそ、攻防一体のセレブ打法なのだ。

この局は小林がをツモって900オール+供託3000点。
【東4局3本場】