理想と現実の狭間で…
TEAM雷電
萩原聖人の苦悩
文・真中彰司【金曜担当ライター】2020年10月23日
10/23(金) 第2回戦
西家:岡田紗佳【KADOKAWAサクラナイツ】
Mリーグが始まって約3週間が経過した。そして今、非常事態が起きている。
あの萩原聖人が、Mリーガーの中で唯一、1度もアガリを手にしていないのである。
8チームの中で唯一ファイナル進出経験が無いTEAM雷電にとって、今年は何としてもファイナル進出、そして優勝と、とにかく結果を出したい年だ。
しかし「今季は自由に打つ」と豪語していた萩原の結果は、2戦連続の箱ラス。しかもアガリは0回。
プロ入り前から麻雀番組においてファンを魅了し続けていた、あの萩原らしい「面白い」麻雀はどこに行ってしまったのか。
視聴者に期待と不安を抱かせながら、試合は開始された。
東1局
南家に座った萩原。1面子に雀頭、そしてドラターツと、手材料は良い。
待ちに待った初アガリへの期待で、表情も前向きだ。
をツモったところで手が止まる。
そして萩原の選択はの先切り。
たしかには1枚切れでシャンポンの受けは弱い。
そして、この先切りでは格段に出やすくなる。
それが萩原の「理想」とする形だ。
しかし、の2度受けが残るこの状態でを残しても、打点や待ちがそこまで良くなるとは思えない。
引きはそもそもイーシャンテン、また引きはの2度受けとなり、これも苦しい。
今回はを引いて事なきを得たが、どこか不安定な一打だった。
そして今季の萩原はとにかくイーシャンテンが長い。
万全の体制を作っても、肝心な牌が引けない。
今か今かと、テンパイを求めている。
しかし現実は非常なもので、先切りの裏目であるを虚しくツモ切ることになってしまう。
そこに畳みかけるように、たろうから待ちのリーチが入る。
とのターツ落としを見せて、いかにも両面待ちですよ、といった感じの河だ。
またアガれないのか…と思った矢先、萩原が待望のを引き入れてテンパイ!
たろうの入り目であるを威勢よく切って追いかけリーチを打った。
リーチ時点でのアガリ牌の枚数は、萩原が5枚、たろうが2枚。
アガリへの長く暗いトンネルの先に、ようやく一筋の光が見えた。
リーチ・ピンフ・ドラ1の3900点。理想通りにでアガり、萩原がようやく今シーズンの初アガリを決めた。
東2局
さて、萩原の親番。今までの負債を一気に取り返そうと気合十分だ。
意気揚々と第一ツモを取って切った、その矢先のことだった。
「リーチ」