本田朋広の挑戦は続く──
雷電の兵(つわもの)は、
どんなときでも戦って死ぬ
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2023年3月20日
第1試合
東家:本田朋広(TEAM雷電)
南家:近藤誠一(セガサミーフェニックス)
西家:小林剛(U-NEXT Pirates)
北家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
雷電にとって最終日となるMリーグ2022レギュラーシーズン93日目。
第一試合に出場した本田は、オーラスを迎えた時点で個人ポイント暫定首位に手が届く位置まで上り詰めていた。
32,400点のトップ目なので、仮にこのまま終わることができれば+52.4ptを追加することができ、MVP候補の伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)・瑞原明奈(U-NEXT Pirates)とは約24pt差のため逆に30pt近くリードすることになる。
そうなると2試合目に2人が出場するとして、セガサミーがトップだったときに2人は2着が必須となるが、本田だけ3着でも条件が残り俄然有利だ。
ついにここまでたどり着いた。
昨シーズンの惨憺たる結果から一転しMVP争いに名乗りを上げている本田だが、今シーズンも勿論楽な展開ではなかった。
記憶に新しい伊達による開幕戦での四暗刻ツモ。
伊達としては最高のスタートを切ることができた訳だが、親被りしてラスとなった本田にとっては、まさに最悪のスタートだったと言えるだろう。
そんな本田の転機となったのが、出場2戦目でラスを引いたときだった。
「2戦目が特に大きかったです。負けちゃったんですけど、瀬戸熊さんや監督、特に瀬戸熊さんが『今日の内容だったら次はトップを取れる』『今日は負けたけど良かった』みたいに言ってくれたことが自信につながって、そのあとにしっかりトップを取れました」
【Mリーグ2022-23 特別インタビュー】ファイナル進出は最低限 雷電ユニバースの皆さんには期待していてほしい【TEAM雷電・本田朋広】
結果としては厳しい2連敗となった本田に対して、プレー内容や戦う姿勢を賞賛し温かく迎えている場面は、公式Youtubeチャンネルの控え室トークで見ることができる。
【控え室トーク】Mリーグ2022 10/10(月) TEAM雷電3日目
今シーズンの好成績について、様々な所で「メンタル的に吹っ切れた」ことが要因だと語る本田だが、その環境を作ったのは選手をはじめとしたチーム全体だったのだろう。
その後の本田の活躍は、知っての通り凄まじいものだった。
3戦目の初勝利から連勝を重ね、年末には堂々の個人首位に君臨。
初年度の、悲壮感漂う姿はどこにもない。
今年の雷電は本田が引っ張ってきたと誰しもが言うだろう。
TEAM雷電が作り出した兵(つわもの)が、今まさにMリーガーの頂に挑戦しようとしていた。
南4局4巡目、本田は選択を迫られる。
状況を改めて整理すると、オーラストップ目ながら2着と3,700点差・3着の親とは6,800点差と1回のアガりで逆転されてしまう立場にいる。
4着目の近藤はハネツモ以上でないと着順浮上が無いため、近藤が試合を終わらせてくれる可能性は低い。
つまりは他のアガりは逆転を意味する、自身で勝負を決めるしかない状況だ。
打点こそ必要ないため、最短でのアガりをものにしたい。
本田の選択は切りだった。
を切ればペンと受けにしつつ、七対子のイーシャンテンにすることができるが、その場合と一蓮托生となるケースが多くなりそう。
ここはリャンメンを固定し、ソーズを引いて多面張になったらペンを払っていく算段だ。上家からが出たらチーしてチンイツに向かうのもいい。
2巡後、を重ねさらに良い形になる。これで再び七対子のイーシャンテンにもなった。
直後、寿人からの親リーチが飛んでくる。
リーチ・ドラ1の待ち。
レギュラーシーズン後半から尻上がりに調子が良くなっている魔王が、本田の前に立ちはだかる。
本田は現物のをトイツで落とし回りつつ、2巡後にはイーシャンテンに復活。
打の勝負に出る。