人生を左右するオーラスの戦い 安部颯斗、キャリアの壁を乗り越えアマチュア最強位に 麻雀最強戦2020「アマチュア最強位決定戦」観戦記

「ほら、言ったでしょ」

潰えたかと思えたアガリが、導かれるかのように安部の元へ訪れた。

リーチ一発ツモpastedGraphic_13.pngドラ、裏ドラがpastedGraphic_49.pngで3000-6000、まさに多井の予言が現実となり、安部が一気にトップ目に立った。

南2局、先制リーチをかけたのは後がない親番の岩間。

しかしこのpastedGraphic_51.pngpastedGraphic_52.png待ちをツモれば反撃の狼煙としては十分、それどころか高目pastedGraphic_52.pngツモに一発か裏ドラが絡めば6000オール、一気にトップが現実的な点差まで迫ることができる。

ラス目の親リーチにはあまり立ち向かいたくはない。

イーシャンテンだった渡邊はpastedGraphic_54.pngを引き、現物を打って守備に回る。

安部、福本もリーチに対して対応気配だ。

しかし渡邊がpastedGraphic_56.pngpastedGraphic_52.pngと引いて、まさかのテンパイ。

安部からpastedGraphic_23.pngを捉え、3900の直撃、トップ目に立つと共に岩間の親を流した。

安部曰く、これは「少し気が抜けていた」。

確かに渡邊が静かに押したpastedGraphic_4.pngに違和感を覚えていれば防げたかもしれない。

しかしここは、止めるべき牌を止め、pastedGraphic_4.pngを勝負しながらヤミテンで仕留めた渡邊を称賛するべきだろう。

苦しくなったのは岩間である。

残り2局で、渡邊、安部とのおよそ3万点差をまくらなければならない。

必然、手組みはハネ満以上の高打点狙いとなる。

狙いはドラを絡めた三色。

しかし親の渡邊も手の中で一気通貫が完成、仕上がれば一気に他3者を突き放せる。

とは言え、そんなことは岩間には分からない。

pastedGraphic_62.png、そしてpastedGraphic_35.pngpastedGraphic_22.pngpastedGraphic_22.pngpastedGraphic_22.pngからpastedGraphic_35.pngを切り、狙いを789三色へと完全に固定する。

退路は断った、ケチな点棒拾う気なし。

このpastedGraphic_18.pngは、岩間が執念で引き寄せたと書かせてほしい。

高目ツモでリーチツモ平和三色ドラ1、奇跡への可能性をつなぐテンパイ。

 

絶対にリーチだ。

岩間は少し間を置き、覚悟の表情で捨て牌の東を曲げた。

その間で考えたのは、見逃し、あるいは安目ツモらずまでの選択肢か。

 

テンパイの渡邊も通っていない牌を打ってテンパイを崩さない。

pastedGraphic_33.png打ちの寸前、一瞬安部の河に視線を送っている。

安部がオリ気味の今、自身のアガリ、あるいはテンパイ料の収入も価値が高いという判断か。

マスクの下では、歯を食いしばっているのだろう。

 

岩間にとってたった一つ残された、蜘蛛の糸。

彼はそれを、自らの手で、意志で、掴みとった。

震える手で開けられた手は、逆転勝利に望みをつなぐ3000-6000。

そしてこのアガリを渡邊が親かぶりしたことで、安部が再度トップに立った。

こうなれば、もう誰が勝つかは分からない。

雀歴1年強の安部はもちろん、渡邊、岩間、そして齢40半ばの福本にとっても、麻雀人生の中で最も長く、濃密なオーラスが始まった。

ツモアガリ、あるいは1300以上の出アガリでトップの渡邊は、初手からpastedGraphic_44.pngのトイツ落とし。

役牌pastedGraphic_13.pngは温存しつつ、タンヤオなどを視野に入れた進行か。

岩間は3打目に打pastedGraphic_52.png

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