なぁにが「大好き」よ！ 私が大好きなのは三度の飯と打点だわ！ 信念を貫いた黒沢咲の麻雀とは【Mリーグ2020観戦記11／24】担当記者：ZERO

次にツモってきたでなんとを切ったのだ！↓

まるでが当たり牌と知っているかのよう。

たしかにが３枚見えている。そしてはが３枚見えているワンチャンスだ。
しかし通っているわけではない。
黒沢に聞いても感覚としか返ってこないと思うが、彼女の目には何が見えているのか。

さらにさらにが暗刻になって打。↓

４５６の三色を見切ってまでを切らないことを決めたようだ。
「三度の飯」より「打点」が好きな黒沢が手役を見切ったのだ。
三度の飯も相当好きらしいが。

そしていよいよを重ねてテンパイした。↓

しかし黒沢のお眼鏡にかなわなかったのか、打ダマテンに構えた。
私なら喜んでリーチを打ちそうだ。

こうして終盤にを掴んだところで…↓

黒沢はを切ってオリた。

トップ目だからという要因が大きいと思うが、それにしても周りが前のめりにリーチしたり、押したりしているのに、黒沢はそれに付き合わず、自分の信念に沿って打っているように見える。

（なんで私には大好きのオファーが来ないのよ！）

という内容の観戦記にする予定だったが、黒沢の優雅な麻雀を見ていると、合わないと思って却下した。

一方で、この局に持ち味を失った打ち手がいた。

高宮だ。日向のリーチに対し

タンヤオドラドラのでテンパイを入れていた高宮は、掴んだで長考。多くの筋が通っていて、は本命にも見える。

しかし自身がリャンメンテンパイ、供託が２本に４本場を考えるとマンガンに近い打点である。普段の高宮なら押していたのではないか。

朝倉「高宮さんは自分が多く持っている筋を危険と感じる傾向がある」と分析しているように、高宮はこのでオリてしまった。

次にツモってきたに高宮は何を思ったか。

南２局６本場　セレブキック

黒沢のセレブ打牌が止まらない。

まずはこのをスルー。↓

トップ目だが頭が無くなる上に手の内がタンヤオ牌ばかりで危険になる。
そういえば黒沢が安い仕掛けで手詰まって困っているシーンを見たことがない。

続いて４巡目。↓

黒沢はここから鳴かなかったを切っていったのだ！

トップ目であろうとこの手をのみ手にはしない。

これが400700のアガリになった。↓

打点は安いのに、手順にセレブを感じる。

こうして小場はオーラスまで続き、黒沢が逃げ切った。

「大好き軍団が眩しすぎて…」と語る黒沢。

なかなかトップを取れなかったことを気にしていたようだが、雷電ファンはそこまでやきもきはしていなかったはずだ。

なぜなら黒沢の麻雀は見ていて気持ちがいいし、面白い。
黒沢のアガった1300・2600が最高打点となる非常に小場で回った半荘だったが、随所に黒沢らしい選択を見ることができた。

「女性卓になると押し寄りになる」
という朝倉の予言は当たった。
しかし１人黒沢だけは例外だったようだ。

黒沢は血気盛んな３人が闘う様を慈しむように見ていた。
その傍らで、自分の麻雀を貫いた黒沢に幸福が舞い降りた…そんな半荘だった。

黒沢旋風が今季も吹き荒れるのか。