繊細と豪快の狭間で…
豪腕・前原雄大の復活劇!
文・真中彰司【金曜担当ライター】2020年11月27日
第2回戦
東家:前原雄大【KONAMI麻雀格闘倶楽部】
西家:内川幸太郎【KADOKAWAサクラナイツ】
時は2週間前まで遡る。11月13日の第1試合。
「悔しがる権利が無い麻雀だった」
この日に、KONAMI麻雀格闘俱楽部・前原雄大はそう言って瞳に涙をにじませた。
大きな放銃の連続で箱下1万点の大きなラス。自身の弱さを冷静に見つめ直し、しばしの間、登板を控えていた。
そして、あの日から2週間。前原は再びあの白卓へと向かっていた。
自分の麻雀を打ち切るために。麻雀格闘倶楽部の勝利のために。
東1局、西家の内川から先制リーチが飛んでくる。
親番の前原は、強烈に押し返すのだろうと予想していたが…
現物のではなく、を切って大きく迂回。
とで無筋が2つになったところで、完全安全牌のを残して現物の打ち。
他家の動向に注意しつつ、この局はほぼ撤退気味。
結果は内川が500-1000のツモアガリ。
東2局1本場、この局は内川の手が整っている。
河を見てみると、字牌⇒中張牌と切り出されていて、いかにも早そうだ。
園田もかなり整った手。同じく中張牌の出が早い。
そして、この2人の河を見て、前原は手を組んでも追いつけないと判断。
後に危険になるであろうを先に打った。
「まだだ…まだ反撃の時ではない」といった感じか。
結果は園田がピンフのリーチをかけて一発ツモ。裏も乗せて2000-4000となった。
東3局も東4局も、前原はじっと耐えて、反撃の機会をうかがっていた。
決して無謀な放銃はしないように立ち回っている。
南2局、3人が団子状態の2着目。萩原が初トップに向けて快走している。
ここでようやく前原にチャンス手が入る。が対子でターツはほぼ揃っている綺麗な手だ。
しかしそこに、園田の渾身のリーチが襲い掛かる。は残り5枚。
安全牌を切りながら回っていた前原だったが、が入ってイーシャンテンに。
アガリはあるのか、それとも無いのか。行くべきか、退くべきか。
前原は決断を迫られた。
だが、注意深く見ている者には分かる。前原のこのポーズはもう「押し」のモードだ。
ここが勝負所と見て、無筋のを静かに、しかし堂々と河に放った。
道中、園田のロン牌であるを吸収。ここはが3枚切れなので、冷静に打。
待ちはやや狭くなったが、打点は上がった。