価値のあるトップ争いとは…己の我慢で襷を繋ぐ瀬戸熊直樹、気合の押し引き【Mリーグ2020観戦記１／29】担当記者：渡邊浩史郎

しかし【南２局】に前原がホンイツのみの２０００出アガリ。

【南３局】に親のたろうのリーチと日向の仕掛けを躱す５００・１０００のツモアガリで再び瀬戸熊を突き放してオーラスを迎える。

【南４局】

跳満ツモ条件となった瀬戸熊。

配牌はあまりハネマンに見えない。ここは素直に打とした。

を引いて、ここは……

打とした。ハネマンしか見ないなら下の三色やチャンタを消さない打でシャンテン戻しなどもあり得たが、ここはピンズの一気通貫のみを残して形をとった。４００００点近くの２着であれば次につながるという判断だ。

とはいえさすがに１０００点目一杯にはいかない。ツモ切りにはそんなバランスが見て取れるだろう。

を引いたら……

シャンテン戻し！！三色と一気通貫の両天秤だ！

を引いて、これでにわかに色めき立つ。次巡引いたのは……

！これではハネマンにはなりにくいが……

それでもここはリーチといった。一気通貫手替わりはフリテンリーチをかけることになってしまう、は三枚切れだがは一枚切れで山にいそう、親の日向は東を仕掛けているのでリーチには来ない、一発などの偶然役や直撃次第ではトップまである、と全てを加味したうえでリーチに踏み切った。

しかし即座に前原が１０００点の出アガリ。最後３局は前原の３連続上がり、ゴジラの猛攻で幕を閉じる結果となった。

一戦目を終えてのスコアがこちら。

我慢することで次のトップが価値あるものになるとは瀬戸熊がよく使う表現。そういった意味では今回の瀬戸熊の押すべきところを押し、止めるべきところを止めた、そしてオーラス無理にトップを狙わなかった我慢の２着は、チームにとって次のトップを価値あるものにする２着だっただろう。

２戦目、その我慢を汲み取ったかのように黒沢がトップをとった。今日一日でチームとして70近くポイントを稼げたのは本当に大きいと言わざるを得ない。

２戦目を終えてのスコアがこちら。これからはもう一戦一戦目が離せない。実況の日吉プロが返ってきた今、再びこの言葉を使わせてもらおう。

「全員集合、瞬き禁止の一戦が始まりますよ」