両者の着順を決めた裏裏…黒沢咲、小林剛が土壇場で発動させる粘りの手順【Mリーグ2020観戦記2/5】担当記者:masasio

東2局

流れるような勝又の手順をご紹介

を引いてイーシャンテン。
手なりならもちろんだが、勝又は切り。

ドラがなだけにマンズで2メンツ作る構想で、ペンを嫌う作戦もあるだろうが、早々に2人がを切っている。
場の状況を機敏に取り入れるのが勝又の真骨頂。
攻守に使えそうなターツなのでまだ切らない。

狙いのツモ!!
こうなればいくら場の状況が良くてもペンを切っていく。
切る牌は
2人の現物であるを手に残した。
当然の選択だが細かいところも丁寧だ。

そして力強くリーチ宣言!!

「ピンズの下が切られてなかったので、ダマテンにしてもこぼれそうにないので、リーチで押さえつけました」(ABEMAビデオ 対局の裏側より)

なるほど、悪い待ちならダマテンにしそうなもんだが、どうせ出ないなら逆にリーチをして押さえつけたほうが良いということか。

結果は流局だったが、場の状況への対応、手役意識、そして戦略的リーチ判断。
軍師勝又の魅力が詰まった一局だった。

南1局

黒沢らしからぬリーチのみのテンパイ。
親番でリャンメンテンパイなら迷わずリーチしそうだが・・・

やはりこの方は迷っていた。

しばしの逡巡の後、多井に仕掛けが入っていたこともあってリーチを敢行。

リーチを受けて一発目の多井。
自身はを仕掛けていてテンパイしたが切るのはドラの

スジとはいえ生牌なので切りづらい。
しかし多井は音速の速さでを切った。

おそらく、この局面で手が止まるMリーガーは多いだろう。

「黒沢のリーチだからドラ持ってそう・・・」
「テンパイだけど2000点だし・・・」

Mリーグの重圧がそうさせるのかは分からないが、必要以上に悩む光景を見ることがあるのも確かだ。
その点多井は、悩まなくていい局面では本当に悩まない。

この局面でも、

は親の現物だから切られやすい
・親の現物は持っていない、ドラのが一応スジ

などの情報は事前に整理されているからこそノータイムでドラが切れるのだ。

何気ないドラ切りだが、さすが多井と思わされる一打だった。

そしてこのもノータイムで勝負。
よく実況などで「強気の選択!」などと言われることもあるが、別に強気で押しているわけではないだろう。
親に放銃する可能性と自分がアガれる可能性を天秤にかけて「得」だと思って押しているだけだろう。

「冷静なオリ」とはよく言われるが「冷静な押し」と言えるのではないだろうか。

この後小林の赤ドラドラのリーチ、勝又のタンピン三色のダマテンが入るなど場が沸騰するが―

アガったのは黒沢。
らしくないリーチのみかと思いきや、裏ドラが2枚乗って4000オール。
後続を突き放した。

対局後のインタビューで反省の局面として挙げたのがこの局だった。
やはりリーチの時にを切ってテンパイを外そうと考えていたようだ。

もしを切っていればすぐにを引いて678の三色をツモアガっていた。
並の人間なら4000オールアガって結果オーライとなりそうなもんだが、さすが黒沢見ているものが違う。

南3局

いよいよクライマックスが近づいてきた。

ラス目で親番の小林がをポン。
解説の渋川プロ曰く「何万回も見た仕掛け」だ。

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