ファンとチームの幸せな関係
フェニックスPVを
熱狂させた
茅森早香の300-500
文・東川亮【月曜・木曜担当ライター】2022年2月28日
2月28日、筆者はセガサミー本社内にあるセガスタジオで行われた、セガサミーフェニックスのファンクラブ会員向けオンラインパブリックビューイング(以下PV)を訪れていた。コロナ禍のご時世で大人数が集まっての公式PVができない状況が続いているが、大和証券Mリーグの各チームはオンラインでのイベントを開催し、ファンとの交流を図っている。画面を介してではあるが、ファンの方が距離を問わずチームとよりつながれるオンラインPVは、熱狂を共にできる貴重な機会だ。
スタジオではこの日の出場がない近藤誠一・東城りお、そしてフェニックスPVのゲストとしてはおなじみの「バビィ」こと馬場裕一さんがファンと共に選手を応援。
期待を背負った初戦には、チームの勝ち頭、茅森早香が出場した。
第1試合
東家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
南家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
北家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
試合は茅森のアガリで幕を開けた。親番でリーチツモピンフ赤の2600オール。なお、平均打点8000点オーバーの茅森は、このアガリでも平均打点が下がる。そんな打ち手は、Mリーガー32名の中でも彼女だけである。
その後は園田と滝沢のやり合いを横目に見る展開が続き、茅森は2番手で南場の親番を迎えた。配牌ではドラ赤のターツがあってもトイツ、仕掛けて5800が現実的だが、やはり期待されるのは満貫以上のアガリだろう。
4巡目にして1シャンテン。だが、すぐに4枚目のが他家に流れ、ペン受けが大ネックになった。テンパイでそこが残ってしまえば、アガリはかなり厳しくなる。
東城「か縦!」
東城の言葉が届いたかのような縦引き。これでネックが解消されると共に、を仕掛けてのテンパイも取れるようになった。
東城「引きたいなー、もしくはで!」
「そっち!?」
の縦引きでテンパイ。イーペーコードラ赤で7700は打点十分、ツモれば4000オールだ。そしてこれをダマテンにすることで・・・
さらなる好形変化を狙える。待ちはカンと比べて、打点アップのを含めて待ちが2枚増えた。待ちを変えるならリーチだ。
をツモって4000オール!今夜も茅森の打点が高い。
このアガリに、近藤・東城が諸手を挙げてガッツボーズ。もし有観客のPVであれば、会場は大盛り上がりだっただろう。
馬場「我々の予想していない形で手が進んだねー」
次局は2フーロテンパイから滝沢のリーチを受けるも押し切り、1000は1100オール。道中でドラが4枚見えたのも、ある程度押す材料にはなっただろう。
近藤「平均打点下がってる、大ピンチだ!(笑)」
味方の快進撃とアルコールで、近藤も饒舌である。
さらに連荘した南1局2本場では、3巡目のポンから発進。マンズのホンイツを絡めての満貫が色濃く見える。
だが、そこに朝倉の先制リーチが飛んで来る。
一発目にツモったのはドラの。手はまだ1シャンテンである。とはいえ、安全牌もない。
「切っちゃえ!」
当たらないと分かっているPV会場から声援が飛ぶ。
「よーし、よく切った!」
ワンチャンスとは言え、ドラを一発目にプッシュした茅森に称賛の声。こういう身勝手な感じのことを言えるのも、単一チームPVの楽しいところだ。
近藤「茅森のああいうとこ、カッコいいよね」
茅森はこの試合について、対ドリブンズをかなり意識していたという。現状7位、そのまま下に押しとどめれば、自分たちがセミファイナルへ進出できるからだ。そのドリブンズ、園田の親番。茅森は5巡目にカン待ちテンパイを入れる。役なしドラなしなら当然のダマテン、その先に見るのは234の三色。
だが、そこに園田のリーチがかかる。茅森としては、ここに打つわけにはいかないが、アガられてもトップが危うくなる。
そこへ引いたは、高目三色となる絶好の手変わりのはずだった。