不甲斐ない自分に別れを告げて TEAM雷電 瀬戸熊直樹 全てを振り切るトルネードツモ【Mリーグ2020観戦記2/11】担当記者:ゆうせー

待望のドラを引いた瀬戸熊。5枚見えのを嫌って、とカンのイーシャンテンに構える。

次巡、

を引き入れてテンパイだ!

「リーチか!?」

という実況席の声。モニターの前で私もそう思った。

だが、

瀬戸熊直樹は牌を縦に置いた。

親番でいち早くリーチに行きたい局面。しかし、これは瀬戸熊にとっての最終形ではないのだ。

引きでの三色。引きでの三面張。引きでのとのシャンポン待ち。

そして、

この引きでの単騎変化がある!ここでもまだダマだ!

思えばこの半荘、徹底して悪い待ちや半端な手格好での勝負を避けてきた瀬戸熊。

もう前回のような後悔はしたくない。運命を託せる手が来るまで、じっと待つ。

そんな瀬戸熊の内に秘めた思いが、選択の数々に表れているように感じた。

だが、巡目が立てば他家が攻めてくる。

ここで園田がをチー、ソウズに向かう。

これを見た多井は、

続けてを降ろす。園田がハネマンをツモっても多井はトップ。ここはサービスセンターの役目を果たして園田の手を進め、魚谷と瀬戸熊を押しとどめるのが狙いだ。

瀬戸熊が次に引いたのは、

ション牌のだ!

どうする。園田はもう2副露だ。猶予はあまり残されていない。

瀬戸熊は、

単騎のダマに構えた!!

染め手がいる以上、ション牌のはいい待ちとは言い難い。マンズとソウズの待ちごろの牌が来たらを切って勝負。それまでは絞りもかねてを切らずに待ちとしておく考えだろう。

瀬戸熊の持ち味である、懐の深い麻雀だ。

そして、

絶好のを引いた!ついにリーチを放つ時が来た!!!

は園田がトイツだったが、

ポンをせずに切っていくことを選択。瀬戸熊一人テンパイ流局での、次局満貫ツモ2着条件に賭けた。

は山にはあるが、他家に流れてなかなか瀬戸熊はツモれない。

どんどん山が短くなっていく。ツモれないのか…という瀬戸熊の心の声が聞こえてくる。

瀬戸熊最後のツモ番、

ガシッという音とともに、瀬戸熊の手に巻き込まれたが姿を見せた!

リーチツモドラ。瀬戸熊の辛抱が実った4000オール。この一閃でトップ目に立った瀬戸熊は、

南4局1本場

終盤にツモアガリを拒否。園田の仕掛けに対して多井と魚谷が手を崩していると判断。いたずらに局数を増やすことなく、オリ切ってノーテンを宣言した。

瀬戸熊が前回の雪辱を果たすトップを獲得した。

 

わずか一戦で、自分の麻雀を立て直した瀬戸熊。意志と心臓の強さを感じた半荘であった。

瀬戸熊もこのトップは嬉しかったに違いない。

試合後、ファンに手を振る姿は喜びに満ち溢れていた。

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