相性なんてぶっ飛ばせ!
鈴木たろうが勝利をたぐり
寄せた『ゼウスの迷彩』
文・東川亮【木曜担当ライター】2021年2月11日
3シーズン目を迎える大和証券Mリーグ。
まだまだ歴史は浅いが、対戦を積み重ねていくと、次第に面白いデータが現れてくるものだ。
その中の一つが選手同士の相性。
なんと松本吉弘・鈴木たろうの2 人は、黒沢咲を相手に着順で上回ったことがないという。
ただ、そんなデータは話題になると途切れる、というのはよくある話。

2/11の第2回戦では、示し合わせたかのようにこの3人が激突することとなった。
2月11日 第2回戦
東家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)


東2局。
前局たろうに8000を放銃した松本の元に、ドラドラ赤というチャンス手が入る。
これをものにすれば、前局の失点はすぐにリカバリーできる。

10巡目に分岐点。
トイツ手に向かうか、メンツ手で勝負するかだ。

松本は少考の後、というマンズのカンチャン受け二つを残すメンツ手のイーシャンテンに構えた。
七対子にしようとしてもや
が既に2枚見え、
はドラそばで持たれているケースもあり、アガリまでは厳しいということだろう。
逆にや
は自身の目から
が3枚見えで、比較的良さそうに見える。

そしてカンを入れ、カン
待ちでリーチ。
残りは山に1枚だったが・・・

それが。
魚谷の追っかけリーチを受けるもののラスト1枚をツモってリーチツモドラドラ赤赤の3000-6000。
前局の放銃を利子付きで取り返すようなアガリとなった。

松本は親番の東3局で2000オールをツモってトップ目に浮上。
一気呵成に攻め立てたいところだが、次局のペン待ちテンパイではリーチを打たないどころかテンパイを外す。
自身にドラも赤もなく打点がない上、相対的に打点のある相手に押し返されることが予想されるからだ。
それよりはソーズを重ねてドラ待ちリャンメンテンパイの方がいい。
最終的には魚谷のリーチを受けて守備にまわるが、この辺りのバランス感覚はさすがだ。

試合は松本ペースで進む。
他3チームの立場からすると、現在首位の渋谷ABEMASがトップを取るのは自チームが勝てない場合ならマシな結果だが、だからといって諸手を挙げて歓迎するようなものでもない。
東4局3本場、この状況を激しく動かすアガリが生まれる。

親番・たろうの配牌。
がトイツでホンイツが見える。


を1巡目からポン。
さらに加カンしてツモを増やすと、を重ねていよいよホンイツへ一直線。

しかし、たろうはから
を切ったものの、
は残して字牌の
をツモ切る。
は自身が切っているとはいえ、残せばよりホンイツに近づくし、安パイにもなり得る牌だ。
これは、相手の読みを狂わせる一打。