そんな思いで挑んだ決勝戦。
しかし…ここでは全く手が入らず金太賢に敗れます。最強位への道遠し。後列右から4番目が多井
2018年 またライバルに負ける
さらに翌年。この2018年は麻雀界にとっては後々振り返った時に記念すべき年になるかもしれません。
Mリーグ開幕です。
渋谷ABEMASにドラフト一位で選ばれた多井は大活躍、個人成績一位でMVPを獲得します。
しかし最強戦ではまたも瀬戸熊直樹に敗れます。
あっちで勝てばこっちで負ける、麻雀の難しいところかもしれません。
2019年 敵は身内にあり
2019年の最強戦も、男子プロ代表決定戦悪魔の逆襲に出場。
悪魔のような強さを誇るプロ8名の対決だったのだが、対局は神対局と言われるほどの名勝負。しかし敵は身内にあり、勝ったのはMリーグでは同じチームメイト白鳥翔でした。
麻雀最強戦2019男子プロ代表決定戦「悪魔の逆襲」観戦記【決勝卓】白鳥、多井、猿川、勝又、4人の命を削った真夏の夜の全21局
そしてこの年のファイナルは将棋棋士の鈴木大介が優勝します。
2014年の藤田晋の時と雰囲気は似ておりアマがプロを圧勝。しかも二人とも元雀鬼会。このことで視聴者の中にはプロに対して否定的な意見を言う人もいました。
多井「麻雀はプロがアマに負ける競技とよく言われます。藤田さんと大介さん、この二人が優勝した時その場にすらいられてなかった自分。それが本当に情けなかったです」
この悔しさが翌年の最強位獲得につながります。
2020年、麻雀最強位に
2020年、多井は最強位を取ったのですが、それも一筋縄にはいきませんでした。
まずはMリーガードラフト一位8名が集まった最強Mトーナメントでは一時3万点差をつけた二階堂亜樹に逆転負けを喫します。そして敗者復活戦の予選でもギリギリまで追い込まれます。
しかし多井は逆転で決勝に進出すると、去年敗れた白鳥に一撃のパンチも出させず完全優勝。この日解説を務めた鈴木大介最強位に「プロ最強と言われている多井さんとやってみたいですね」と言わしめ、さらに二階堂亜樹にもリベンジを果たしたいと叫んだことで、抽選会の結果ファイナルではこの3人が同卓することに。
そこで多井は鈴木、二階堂二人を撃沈させ、一仕事果たします。
そこからは勢いが止まりません。
翌日のセカンドステージでは、近藤、新津という最高位戦の強豪をまとめて退治。
そのまま決勝でも貫禄勝ち。
多井、最強位をここで獲得するのです。
プロではなく麻雀ファンこそが大事
いかがでしたでしょうか。
2011年から2014年までは出場すらできたなかった最強戦。
2016年にはオーラスで涙をのみました。
あれから4年。今最も輝いている多井ですが、10年前からの努力、もどかしさ、悔しさは本人にしかわからないでしょう。分かるのは、人は10年後はどうなるか分からないということです。
10年後、2030年は意外とすぐ来ます。
その時、麻雀はどうなっているのか、プロはどうなっているのか。
麻雀を盛り上げるのはプロではなくファン自身だと思います。
ここまで読んでいただいた熱い麻雀ファンの方と一緒に最強戦や近代麻雀を作っていきたいと思ってますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。
多井「最強位を獲得してやり残したのは一つだけになりました。Mリーグで優勝することです」
多井隆晴の漫画は近代麻雀に掲載中
1978年広島県生まれ。東京大学卒業後、竹書房に入社。近代麻雀戦術シリーズでさまざまな作品を世に出しつつ麻雀最強戦実行委員長をつとめる