ここに狙い通りを引き、待ちのヤミテンに構える!
平和赤ドラで、かつ自身も2着目なのでここはリーチをかけたいところ。
ただは沢崎から4枚見えて残り4枚。3人がそれぞれ序盤に切っているので、今引いてきたら無条件で切ってくれそうなのを見越してのヤミテンだ。
このヤミテンが功を奏し、を引き入れ打点がアップした直後に瑠美からの直撃に成功。
このアガりによってトップに躍り出る。
点数移動が激しい東場だったが、南場に突入した後も乱打戦が続く。
南1局には3着目の茅森が満貫をツモアガり。
南2局2本場では、ラス目になっていた瑠美が跳満をツモ!
高打点の応酬が続き、南3局1本場に入る時には全員が2万点台の超接戦状態になっていた。
南3局1本場
この局面が、昨日のSNSで一番話題になっていた。
はじめに瑠美が三色確定のチーテン待ちを入れる。
その直後、・をポンしていた朝倉がドラのを重ねてテンパイ。
でアガれば跳満と平たい状況から一気に抜け出せる大物手を入れる。
待ちはで瑠美と同じ。なら三色がついて満貫になる。
は3人が当たり。ならば沢崎・瑠美のアガりで、朝倉だけがアガれるは山に一枚。
を引いてしまった朝倉。待ちを変えると放銃になってしまうが…。
なんとここで朝倉はを選択した!
このが頭跳ねにより沢崎のロン牌に。3,900は4,200の放銃となってしまった。
その後のオーラスでは瑠美がリーチをかけるも流局となり、沢崎トップ・朝倉ラスのまま終局となった。
南3局1本場の切りについて朝倉は、自身のYouTubeチャンネルにて「他家への放銃率は決して高くなく、自分のアガり率を上げるための選択」である旨を解説していた。
朝倉の意図は理解しつつも、個人的にはシンプルな切りが正着だったように思える。
123で鳴いている瑠美の手役は三色かドラの南の後付け(他の役牌は既に切れている)が考えられる。8巡目にチーしたあとは全てツモ切りなのでかなりチーテンに見える。
との比較では切りが優っており、を切ることに違いはないのだが、万が一当たり牌だった場合に点数を倍増させてしまうかもしれないリスクを考えるとではなくを切りたい。
(確定の満貫はほぼなさそうだが、ドラが頭の5,800点は十分に考えられる)
また他家からのアガりを期待するには巡目が深すぎるのもポイントだ。ここで赤を切ったところで、万が一のリスクに見合うようなリターンがあると私は思えなかった。
…とここまで反対意見を書いたが、
実のところこの朝倉の切りは心の底からすごい一打だと感心していた。
たしかに私は記載した理由からを選ばない。
ただ仮にがいいと考えていた場合、はたしてあの場あの局面でを切ることができるだろうか?
麻雀はミスとファインプレーが紙一重のゲーム。
本当はファインプレーになりえたような選択でも、偶然が重なり周りから見ればミスに見えてしまうことも少なくない。
無難な選択をすることは簡単だ。失敗して結果を残せなくとも非難されることは少ないだろう。
数多くの視聴者がいるMリーグの舞台で、自分が正しいと思った選択を恐れず実行する。
これこそプロの魅せる麻雀なのではないだろうか。
今シーズンは「表情が良い」と言われていた朝倉。
ただ今回は南2局以降、苦しい展開もあり昨シーズンのような辛そうな表情が見られた。
負けた時こそ胸を張ってほしい。
朝倉の活躍に期待している船員のために。パイレーツの勝利を心待ちにしているファンのために。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke