君は見たか 目に映る景色を一変させた魔王の一撃を【Mリーグ2021-22 観戦記3/22】担当記者:ZERO/沖中祐也

消去法で【4ピン】を切るかと思っていたら…

なんと魚谷は【7ソウ】を切った。

ピンズに手応えを感じたのだろうか。

その選択に応えるように

【5ピン】が魚谷の手元に身を寄せる。

そしてこのテンパイを

ダマテンに構え…

内川から8000をもぎとった。

もしあそこで【4ピン】を残さずにもたついていたら、朝倉の大三元が飛び出していたかもしれない。

こうやって今シーズンは役満が出そうで全く出ないまま、レギュラーシーズンを終えたのだ。

朝倉の三元牌は、季節外れの雪のように卓内へと溶けこんでいく。

堅忍不抜

「カン」

寿人はツモってきた【5マン】を何の迷いもなく加カンした。

朝倉のリーチを受けた直後ではあるが、南場の親番、ここが最後の勝負どころと踏んだのだろう。全面戦争の構えだ。

次に

【6マン】をツモってくる。

佐々木寿人 レギュラーシーズン-77.3

好調のチームにおいても自分が勝てていないのが納得いかねぇ。

特に、たきなんとか! おまえの後塵だけは居心地がわりぃんだよ!

寿人は【7マン】を切った。

止めた【6マン】は朝倉(下家)の当たり牌だ。

朝倉は【赤5マン】を切った本人であり、マンズは【1マン】【4マン】【6マン】【9マン】が本命になる。

さらに【6マン】をツモって打【7マン】。朝倉のアガリ牌を続々と吸収していく。

戦慄したのは次の瞬間だった。

【9マン】をツモってくるやいなや、何の迷いもなく

 

テンパイを壊したのだ。

牌図を見てみよう。

なるほど、よく見ると【6マン】【9マン】以外のほとんどの筋が通ってしまっている。

(ワンチャンスの【6ソウ】【9ソウ】があるくらい)

あらためて牌図を見ると、これを止めるのはそんなに難しいことではない。

──いや、それにしても

あまりに速かった。

【9マン】をツモった瞬間に【中】に手がかかっていた。

必死に作り上げてきたテンパイ。

絶対落とせない親番。

寿人はそれらをいとも簡単に手放したのだ。

いや、寿人はまだ諦めていない。

現物の【2マン】ではなく【中】を切ったということはテンパイ復帰の可能性を残している。

朝倉のリーチはチートイツが臭う捨て牌であり、表示牌に1枚見えている【中】ですら安全とは言い切れないのだ。

親番にかける寿人の執念。

しかしテンパイ復帰できる牌は山にほとんど残っていなかった。

【9マン】にくっつけばテンパイになるが、【8マン】が1枚ばかり残っているだけ。

その1枚を…

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