消去法でを切るかと思っていたら…

なんと魚谷はを切った。
ピンズに手応えを感じたのだろうか。
その選択に応えるように

が魚谷の手元に身を寄せる。
そしてこのテンパイを

ダマテンに構え…

内川から8000をもぎとった。
もしあそこでを残さずにもたついていたら、朝倉の大三元が飛び出していたかもしれない。
こうやって今シーズンは役満が出そうで全く出ないまま、レギュラーシーズンを終えたのだ。
朝倉の三元牌は、季節外れの雪のように卓内へと溶けこんでいく。
堅忍不抜
「カン」

寿人はツモってきたを何の迷いもなく加カンした。
朝倉のリーチを受けた直後ではあるが、南場の親番、ここが最後の勝負どころと踏んだのだろう。全面戦争の構えだ。
次に

をツモってくる。

佐々木寿人 レギュラーシーズン-77.3
好調のチームにおいても自分が勝てていないのが納得いかねぇ。
特に、たきなんとか! おまえの後塵だけは居心地がわりぃんだよ!

寿人はを切った。
止めたは朝倉(下家)の当たり牌だ。
朝倉はを切った本人であり、マンズは
が本命になる。

さらにをツモって打
。朝倉のアガリ牌を続々と吸収していく。
戦慄したのは次の瞬間だった。

をツモってくるやいなや、何の迷いもなく

テンパイを壊したのだ。
牌図を見てみよう。

なるほど、よく見ると以外のほとんどの筋が通ってしまっている。
(ワンチャンスのがあるくらい)
あらためて牌図を見ると、これを止めるのはそんなに難しいことではない。
──いや、それにしても

あまりに速かった。
をツモった瞬間に
に手がかかっていた。
必死に作り上げてきたテンパイ。
絶対落とせない親番。
寿人はそれらをいとも簡単に手放したのだ。
いや、寿人はまだ諦めていない。
現物のではなく
を切ったということはテンパイ復帰の可能性を残している。

朝倉のリーチはチートイツが臭う捨て牌であり、表示牌に1枚見えているですら安全とは言い切れないのだ。
親番にかける寿人の執念。
しかしテンパイ復帰できる牌は山にほとんど残っていなかった。
にくっつけばテンパイになるが、
が1枚ばかり残っているだけ。
その1枚を…