ギアを上げた多井隆晴を待ち受ける苦難 2021シーズンファイナルは佳境へと突入する【Mリーグ2021観戦記4/19】担当記者:江嵜晋之介

堀から見た捨て牌がこちら。

伊達は役牌を2つしかけているものの、全ての色の牌を満遍なく捨てているため染め手とも断定しにくく、どちらかと言えば対々和などが本線に見える。

しかし開けられた手はソーズの混一色【5ソウ】【8ソウ】待ち。
これには堀も驚きの表情を浮かべていた。

2局連続のアガりでダントツになった伊達。
これまで苦しい展開が続くKONAMIにファイナル初トップを持ち帰ることができるか、期待が高まった。

しかし南1局、親番東城のリーチに対してテンパイを維持する【5ソウ】満貫の放銃となってしまい、東城に逆転を許してしまう。

伊達から見た捨て牌がこちら。

東城は【4ソウ】を対子落とししており、【4ソウ】周りが待ちになっていることが少なくかつ【8ソウ】が通っているため【5ソウ】は比較的安全と判断した一打。しかし実際は2枚目の【4ソウ】空切りであり、不運にも【2ソウ】【5ソウ】受けが残ってしまっていた。

驚いた表情で手牌を見つめる伊達。
ダントツだった伊達が振り込んだことで、勝負の行方はわからなくなる。
続く南1局2本場にて3着目多井が満貫をツモアガリ。

南2局は多井が伊達の親番を流す300,500をアガる。

そして迎えた親番、多井の手牌。

配牌でドラ3のリャンシャンテン。文句なく勝負手だ。
しかし中々思うように手牌が育たず、巡目だけが過ぎていく。
9巡目、やっとチートイツのイーシャンテンに。

この局、素晴らしい判断を見せたのはラス目の堀だった。
堀はイーシャンテンのこの手牌から打【6マン】を選択。

【6マン】を打つと一旦雀頭がなくなってしまうが、ドラの【1マン】を使いやすくなる。【2マン】を引いた【1マン】【4マン】【7マン】待ちや【1マン】を引いて雀頭にした【2マン】【5マン】【8マン】待ちが本線。【1マン】のドラ単騎リーチも選択肢に入れているだろう。

親番が残っている堀としては軽くアガることも不自然ではないが、
ここは打点を重視した選択を行う。

この選択が功を奏する。
ドラの【1マン】は使えなかったものの、タンヤオ・三色が狙える三面張リーチにまで育つ。

苦しくなった多井。さらに上家の伊達もタンヤオドラのテンパイを入れる。

待ちは【2マン】【5マン】。そして多井は2人の当たり牌である【2マン】を引いてしまう。

ドラの【1マン】を対子で落とし迂回する多井。
そして3巡後、伊達が切った【3ピン】をチー。

果敢にテンパイを取りにいくが、ここで堀の当たり牌である【8マン】が選ばれてしまう。

三色がつく【8マン】での放銃で多井がラスに。
堀は打【6マン】の後に【7ソウ】【9ソウ】を手出ししており、【6マン】を跨ぐ筋は比較的通りそうに見える。
東場と同様に親番での加点を目指した多井だったが、苦しくもどちらも放銃に回ってしまった。

オーラスはトップ目東城が積極的に仕掛け1,000点をアガり切る。
トップのセガサミーがさらに加点し、優勝へ一歩駒を進めた。

試合後のインタビューで悔しさを語った多井。

果敢にトップを目指したが、苦しい展開がつづき1試合で3回の放銃と守備派の多井としては珍しいスタッツになった。

トップ目のセガサミーが他チームを引き離す展開になったが、8試合を残して上下の差は約260ポイントとまだまだ行方はわからない。

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