スペシャリストが動いたのは最後の勝負どころ! 小林剛、巧みな食いで麺麺位に【Mリーグ2021-22 4/28麺麺位決定戦】担当記者:東川亮

残した8どん(【8ピン】)は自身で切っていてフリテンだが、6どん(【6ピン】)暗槓に対する小林の7どん(【7ピン】)切りリーチに、カン8どん(【8ピン】)待ちのリスクを考慮した。

裸で熱々の麺を食べるときは、汁跳ねに注意しよう。寿人のフリテン裸単騎は実らず、この局は流局となる。

日2局1本場、小林がメンピンツモ赤裏の2000-4000は2100-4100をアガり、接戦から一歩抜け出す。

清1局、劣勢の寿人が4巡目に早くもリーチ。赤赤ドラで打点は十分だ。

これに対し、カン3麺(【3マン】)を早食いしていた堀が、粘りながらも最後に煮詰まってしまう。最終手番、何を切るか。

堀は、あわよくばの2どん(【2ピン】)単騎待ちでのタンヤオ三暗刻を狙い、3どん(【3ピン】)切りを選択。

これが寿人のカンチャン待ちにズドン、リーチドラ赤赤裏、8000の放銃となってしまう。

だが、堀とてやられてばかりの男ではない。次局は寿人の先制リーチに追っかけ、麺単品ならぬメンタンピン赤赤の8000を取り返す。なんならリーチ棒の利子付きだ。

ちなみにこのとき、小林にもいったんテンパイが入っていた。役なしのカン2麺(【2マン】)待ち。カンリャンメン。どっちやねん。

清3局、寿人が早々に食い始める。【中】に続きドラ8麺(【8マン】)をポン、【中】ドラ3のインスタント満貫。お手軽でおいしい、まるでカップヌードルのようだ。ただし、寿人の手は高いがカップヌードルはお手頃価格である(※希望小売価格・税別193円)。

テンパイは丸山の方が早かった。チートイツなので、いい待ちでリーチをかけたい。

(【西】)。
これなら行ける。
「単騎は食(【西】)で待て」という言うではないか。(by小林未沙)

この(【西】)を、なんと堀が一発でつかんで放銃。やはり雀士たるもの、食はおろそかにしてはいけないのだ。リーチ一発チートイツ赤、8000は激痛。

なぜか、チームメートの内川幸太郎が堀の放銃に反応していた。なんでだろう。

ともかく、丸山が一気にトップ目へと躍り出た。
やったぜひよこちゃん。
どこ見てるんだひよこちゃん。

各者が食いまくり、清場に入ってからは高打点の応酬となった麺麺位決定戦。しかし一人だけ、ここまで一度も食っていない選手がいた。

食いのスペシャリスト、小林剛である。以前、彼を取材した際に「アイスとプリンとシュークリームで生活している」という話を聞いた。麺は食わないのか、そんなバカな。

いや、違う。スペシャリストは食うべきタイミングを待っていたのだ。清4局、丸山の切った2どん(【2ピン】)に早速食いつく。堀と寿人の逆転条件はハネ満ツモか倍満出アガリ。そう考えれば、自身は見逃される可能性が高い。また、場風の清はテンパイに向かう相手から食える可能性が十分にある。あらゆる状況を的確に判断した上での食いである。

先制は寿人、254麺(【2マン】【5マン】【4マン】)待ちリーチ。しかし、ハネ満をクリアするにはピンフのつく25麺(【2マン】【5マン】)をツモった上で、一発か裏のトッピングが必要になる。4麺(【4マン】)ツモならもう2つだ。

小林は宣言牌4ソー(【4ソウ】)を食って一発を消しつつ前進。放銃リスクが低いからこそ、手を短くできる。

さらに(【南】)を食ってテンパイ。これで小林は、自身のアガリはもちろん、丸山ノーテン、さらには寿人がツモっても裏が乗らずに満貫止まりなら優勝となる。

寿人のリーチと小林の仕掛けに挟まれた堀。自身の手はハネ満の可能性こそ見えるものの、全然整っていない。

それでも、なんとか突破口を探ろうとする。目がマジである。そう、これはお遊びではない。麺麺位をかけたMリーガーによる真剣勝負なのだ。

堀は、寿人が自分から当たれないことを分かっている。それゆえ、あえて寿人の危険牌をプッシュ。それによって丸山をやりやすくさせ、テンパイでもう1局やってもらおう、という作戦である。そうした意図で堀が切った5麺(【5マン】)を、もちろん寿人はロンできない。

丸山は、2つ食ってなんとか1シャンテンまでこぎ着けていた。

だが、テンパイまでは辿り着けず。寿人もツモれないまま流局。

見事、小林が麺麺位となり、優勝賞品である日清食品製品をゲットした。

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