心も足も痛い。
渋川難波、前途多難の幕開けである。
本物は誰だ
東2局、役牌を2つポンした寿人。
ホンイツをコンサルタントしていたが、思うようにソウズが引けずにを余らせてブラフへと切り替える。
同じくその下家である仲林。
同じくホンイツをコンシェルジュしていたが、ピンズが引けなかったので→と切ってブラフかつオリの選択を取る。
そのに食らいついたのが渋川。
チーテンの渋。タンヤオ赤2で3900のテンパイだ。
ただ8巡目のがあれば567の三色もあった。
渋川はここから打。
おそらく親(下家)に対する安全度を考えて、よりもを残したのだと推測する。
ただ仲林(上家)に対してはの方が安全である(とを鳴いていない)。
正否はわからないが前局の打といい、やや慎重だなという印象を感じる。
さて寿人と仲林のブラフに渋川のチーテンが入ったところで、そっと親の魚谷がテンパイする。
を切って、ピンフドラドラの両面待ち。
当然のリーチかと思われたが…
魚谷はヤミテンに構えた。
ソウズとピンズの仕掛けがいる中で、マンズは狙い目。
リーチとダマでアガリ率の差が大きいと考えたのだ。
しかし、2巡回したあとに…
魚谷はおもむろに牌を横に曲げる。
このツモ切りリーチには理由がいくつかある。
まず寿人と仲林はノーテンの可能性が高いと感じた。
寿人(下家)はを対子で落としているし、仲林(対面)もピンズを連打している。
よって渋川の捨て牌に危険なはすでに止められて打たれないか、あるいは――
山にいるかだ。
リーチツモピンフドラ2、裏ドラこそ乗らなかったものの見事な4000オールとなった。
という良い待ち(自分がを先切りしている)でヤミテンにしないだろう、という要素も少しだけあったはず。
ラストチャンスの渋
その後、流局と小競り合いで東場は終わり、渋川は…
ラス目のまま最後の親番を迎えていた。
そこそこの配牌をもらうも、5巡目に
にっくき仲林からリーチを受ける!
今日も… だめなのか。いや! 当然渋川は諦めていない。
この舞台にどれだけ立ちたかったと思っているんだ。
堀がサクラナイツの4人目に指名された時、渋川は悔しいとも感じなかった。
いや悔しいとも感じなかった自分に悔しかった。
そこから、解説を頑張るとともにYouTubeを初めた。
最大のチャンスとなった次の年、またしても渋川は選ばれることがなかった。
悔しかった。前年より悔しいと思えただけ進歩だが、涙が出なかった自分に対し「まだ努力が足りていないんだろうな」と自己分析した。
さらに努力を重ね、人気YouTuberとなった今年、渋川はドラフト最右翼の選手と言われるまでになった。
そのポジションは座して待っていただけではなく、自分の手で掴み取った席なのだ。
「努力は報われるべき」
そう語るサクラナイツの森井監督に指名され、晴れて渋川はMリーガーになった。