魚谷侑未・鈴木優の3局 師弟によるデッドヒートを制したのは【Mリーグ2022-23観戦記12/20】担当記者:ZERO/沖中祐也

「今度それを口にしたら本当に麻雀をやめろ」 厳しすぎる鈴木優の一喝

豊橋の地で、ただマシンのように麻雀を打ち続けた日々。
あの麻雀漬けの毎日が今の礎になっていると魚谷は語る。

その優から【3ソウ】が打たれるが魚谷はスルー。

たしかに【3ソウ】をチーすると仕掛けの利くイーシャンテンになるが、残る形があまり良くない。特にカン【3マン】というネックが残るのでアガリまでの速度は変わらない、という判断だろう。
タンヤオを見た手組はするけどネックからじゃないと仕掛けない、というのが魚谷が培ってきた鳴きバランス。この手で鳴くのはカン【3マン】だけ。

こうして魚谷は

【7ピン】をツモってリーチに踏み切る!
ここでも打【9ソウ】のテンパイ外しやダマテンを考えたが、カン【3マン】がネックになるのは変わらない。そしてやはり魚谷にトップ目の意識はなく、ここでリスクを背負ってもう一撃決めないとトップは取れない、という意思が垣間見える。

同巡、第4の男・滝沢からドラの【2マン】をぶった切っての追っかけリーチが入った。

高目【6ピン】ツモでハネマンとなり、なんとハネツモならラスからトップになる!

意外にも滝沢はここまでトップがない。
「気にしていない」と語る滝沢が一発でツモってきたのは…

安目の【9ピン】だ!
一発なので裏が乗れば満貫。日向をかわして3着になる。
しかし…

滝沢は静かに【9ピン】を置いた。
親リーチが入っている中でのアガリ拒否!あくまでもトップを狙う選択だ。

「少し乱暴だったかもしれません」
と滝沢は語るが、果たしてこツモアガリ拒否は割に合っているのか、簡易的に計算してみよう。(以下の計算式は飛ばしてもらって結構です)

ツモった場合
裏ドラが乗る確率を30%として
(-16.3pt×0.3)+(-39.1pt×0.7)→-32.26pt
(ウラ2は一旦考慮しない)

【9ピン】をツモ切った時にこの-32.26ptを超えるかどうか。

ツモ切った場合
めくり合いに勝って【6ピン】をツモる確率を20%、負けたら10000点のラスを引くものとする。
(+47.7pt×0.20)+(-50pt×0.8)→-30.46pt

一応ツモったときよりマシな数字が出てきた。

とはいえ、この計算には穴がありすぎる。
逆転率20%はどこから持ってきたのという話だし(15%に設定すると-35.345ptになり損となるし25%に設定すると-25.575とかなり得になる。)負けた時の平均10000点というのも怪しい。
逆に日向が放銃したり、魚谷がアガった後に再逆転したりと、決着は多岐にわたる。

ただざっくり計算しただけでもいい勝負だったし、何より滝沢が後に語ったように魚谷のリーチが愚形でもなんでもあるということを考えると勝率を少し高めに見積もることもできる。

「気にしていない」
と言いつつも、やはりファンのためにもトップがほしかったのではないか。
ツモ切った【9ピン】に選手心理が見える。。

ともあれ、このツモアガリ拒否によって4人の運命はメビウスの輪のように捻れた。
(ツモだったらウラウラでない限り優のトップだった)

まず優だ。2人のリーチの後に1枚切れの【南】をツモってくる。
魚谷のリーチだけだったら、ガンガン押していったに違いない。ここで魚谷にアガられたらかなり苦しくなるからだ。
しかし滝沢の追っかけがあったことにより、滝沢の1000・2000~2000・4000ツモによる魚谷親被り、さらに魚谷から滝沢の放銃によるトップ、と複数の逆転ルートが見えてきた。

そこで優は現物の【7マン】を切る。
もし直後にテンパイしたら【南】を押すつもりだったが、さらに無筋をツモってきた優はオリた。

滝沢の【6マン】も魚谷の【3マン】も最後まで山にいた。
緊張感のあるめくり合いが続く。

トップを渇望しているのは魚谷だって変わらない。
前回3着→4着ときて炎の3連投。麻雀のめくり合いだけはどうにもならないとはいえ、自然とツモ山へ伸ばす手に力が入る。

結局2人テンパイで流局。

3者の思惑

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