その言葉に応えるように、寿人が動き出す。
本命は後付けだが、345三色の含みもある。
345三色は崩れたが、これでバックテンパイ。優とのめくりあいになった。
この気持ち良いほどの押しっぷりこそ、寿人の真骨頂。
実に2ヶ月近くトップから遠ざかっている寿人が、自身の親番に食らいつく。
ここを制したのは寿人。
残り1枚のをしっかりと引きアガり、1000オール。
まだ東城まで点差はあるが、寿人の火力なら十分射程圏内だ。
東4局2本場。この局、村上に凄まじいテンパイが入る。
タンヤオピンフ赤3ドラ。
ダマでも跳満のこの手だが、村上はリーチ。
4着を回避するのが目標なら、ダマもありだろう。
しかし違う。村上はトップを取りに来ている。
今年に入ってまだトップの無かったチームを、第1試合園田がトップで救ってくれた。
その気持ちに、応えたい。
倍満をツモれば、一気にトップまで視界に入る。
は、山に4枚。
祈るように手を伸ばす。
深い海の底に沈んだままの村上が、必死に手を伸ばす。
1枚、また1枚……減っていく。
残りの山と、アガり牌が減っていく。
村上が必死に伸ばした手を振り払い、嘲笑うように。
村上が手牌を開いたのは――全員の手牌が伏せられた後だった。
これも、届かない。
あまりに残酷な結果を前に、村上はきゅっ、と口を噤んだ。
ガラガラ、と音を立てて自動卓が次の山を運んでくる。
南1局3本場、ここまで局参加がなかなかできなかった優が、この親番で脅威の押しを見せる。
のタンヤオのみのテンパイを入れていた優が、を持ってきて少考する。
対面の村上は3つ副露を入れて手出しでが出てきている。
いかにもソーズの染め手で、1枚切れでドラのは、流石に危険すぎる。
これはオリに回るほかないか……と思われたが。
優の選択は、押しだった。
パイレーツの楽屋ではひっくり返った人もいたらしいこの戦闘民族っぷり。
東城のソーズ連打に対して村上が鳴いておらず、最終手出しのがくっつきの候補牌であったように見えるのと、途中で挟んだ安全牌候補のから、ある程度最終形が決まっていたように見えること。
この辺りが優の判断要素になっていそうだが、それでもこのはなかなか押せない。
とにかく、下位に沈む2チームだけでなく、優もまたトップを強烈に欲していることがわかる押しっぷりだった。
この局は村上、優の2人テンパイで流局。
この連荘を活かし、優は4本場で1500を寿人からアガることに成功する。
南1局は、5本場へ。
東城に選択が迫られる。
先制テンパイ。
を切って一気通貫のテンパイに取るか、を切ってのピンフ赤1に構えるか。
リーチを打つのか、打たないのか。
東城が選んだのは、待ちのダマテン。
親の優が押してきそうなことから、リーチは打ちにくい。
ダマで構えるなら、待ちが2種類ある。
この5本場を流せば、優のトップはかなり苦しくなる。ここはかわし手に徹する判断。