セミファイナルはもう始まっている 負けた本田朋広に見たチーム雷電、ファイナル初進出への希望【Mリーグ2022-23観戦記2/7】担当記者:ZERO / 沖中祐也

「次に厳しいところを持ってきたらオリようと思っていた」
と語る松ヶ瀬のチートイダマテンによる横移動。

日向は先週同様、開局のチャンス手をチュモることができなかった。
次にチャンス手が入ったのは南1局

【5ピン】タンキの仮テン(=仮のテンパイ、の略)で構えているところに【8ピン】をツモってきた場面。日向はこの【8ピン】をツモ切った。
画像ではわかりにくいが、本田(下家)のリーチと寿人(対面)の仕掛けを受けている。

ここで【8ピン】タンキの追っかけリーチは乱暴だろうか?
【5ピン】は2枚切れていて絶望的。【8ピン】も1枚切れているが3人とも持っていなそうで絶好。他家からの出アガリも期待できて、打点も最低6400と申し分なし。

ただ、日向はこれを守ることによりチームを支えてきたのだ。

(今月の『追憶のM』より ©しおざき忍/ZERO)

後手、しかも相手が2人(本田と寿人)、自分の形が苦しいとあらば、守りに徹する。

日向は次の巡目に【4ピン】をツモってきてオリた。
分の悪い勝負はしない。それが日向のスタイルなのだ。

こうして3着目で迎えた親番。

4巡目にテンパイを果たすが、この【1マン】をツモ切ってテンパイ取らず。
【2マン】が1枚切れていなければ積極的にリーチを打つこともあるんですが」
と日向は語る。
ピンフイーペーコー、各色の赤をツモっての打点向上もあり、テンパイ取らずは自然と言えるだろう。

だが結果は最悪だった。

寿人(対面)からリーチを受けた上に【2マン】をツモ。
【4ピン】を頑張って押したが、すぐに寿人がツモって反撃はならなかった。

日向藍子 -22.5 3着

 

佐々木寿人の場合

東3局、寿人の打【9ソウ】に解説の朝倉が唸った。

ここからの打【9ソウ】である。
「カン【8ソウ】をツモっての【5マン】【8マン】はいらない」
という、567の三色に絞った打点派の選択。

すぐに

【8マン】をツモってタンヤオ・三色・赤1の満貫テンパイ。ドラの【中】を切り、反応がないのを見てツモ切りリーチを打った。
なんというか全ての動作が淀みないのだ。【9ソウ】を切った直後にツモってきた【5ピン】あたりも全く迷わずにツモ切っている。

同卓者は感情のないAIと打っているような空恐ろしい感覚を抱いていることだろう。

終盤、中筋となった【6ソウ】が場に打たれるが…
「ロン」
「ロン」

アガリ宣言のハーモニー。
本田が頭ハネで寿人のアガリを掠め取っていった。

(余談だが、この「頭ハネ」というルールはどうだろう。
全てのプロ団体がこのルールを採用しているのでごく自然だとは思うが、無くしてしまってダブロンを認めた方が、悲劇や大逆転が生まれて盛り上がるのは間違いない。)

さて2着目で南3局まで進めていた寿人の5巡目

寿人はこの【5ピン】をツモ切った。
【4ソウ】【5ソウ】をツモってのカン【4ピン】待ちはいらないよ、ということだがカン【4ピン】をツモってのテンパイ逃しや345の三色を逃すロスもある。

さきほどの打【9ソウ】と似ている。

【5ピン】を先に切ることにより、【3ソウ】【6ソウ】から入った時の【2ピン】【3ピン】待ちリーチを強くすることができ、先制リーチを受けた場合は【中】を切って1巡進退を保留できる。

ロスは【4ピン】だけだと考えれば、赤もドラもないこの手牌での打【5ピン】は攻守兼用のスタイリッシュな選択と言えるのではないか。
なんでも目一杯構えがちな私はこういうのが真似できない。

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