「次に厳しいところを持ってきたらオリようと思っていた」
と語る松ヶ瀬のチートイダマテンによる横移動。
日向は先週同様、開局のチャンス手をチュモることができなかった。
次にチャンス手が入ったのは南1局。
タンキの仮テン(=仮のテンパイ、の略)で構えているところにをツモってきた場面。日向はこのをツモ切った。
画像ではわかりにくいが、本田(下家)のリーチと寿人(対面)の仕掛けを受けている。
ここでタンキの追っかけリーチは乱暴だろうか?
は2枚切れていて絶望的。も1枚切れているが3人とも持っていなそうで絶好。他家からの出アガリも期待できて、打点も最低6400と申し分なし。
ただ、日向はこれを守ることによりチームを支えてきたのだ。
(今月の『追憶のM』より ©しおざき忍/ZERO)
後手、しかも相手が2人(本田と寿人)、自分の形が苦しいとあらば、守りに徹する。
日向は次の巡目にをツモってきてオリた。
分の悪い勝負はしない。それが日向のスタイルなのだ。
こうして3着目で迎えた親番。
4巡目にテンパイを果たすが、このをツモ切ってテンパイ取らず。
「が1枚切れていなければ積極的にリーチを打つこともあるんですが」
と日向は語る。
ピンフやイーペーコー、各色の赤をツモっての打点向上もあり、テンパイ取らずは自然と言えるだろう。
だが結果は最悪だった。
寿人(対面)からリーチを受けた上にをツモ。
を頑張って押したが、すぐに寿人がツモって反撃はならなかった。
日向藍子 -22.5 3着
佐々木寿人の場合
東3局、寿人の打に解説の朝倉が唸った。
ここからの打である。
「カンをツモってのはいらない」
という、567の三色に絞った打点派の選択。
すぐに
をツモってタンヤオ・三色・赤1の満貫テンパイ。ドラのを切り、反応がないのを見てツモ切りリーチを打った。
なんというか全ての動作が淀みないのだ。を切った直後にツモってきたあたりも全く迷わずにツモ切っている。
同卓者は感情のないAIと打っているような空恐ろしい感覚を抱いていることだろう。
終盤、中筋となったが場に打たれるが…
「ロン」
「ロン」
アガリ宣言のハーモニー。
本田が頭ハネで寿人のアガリを掠め取っていった。
(余談だが、この「頭ハネ」というルールはどうだろう。
全てのプロ団体がこのルールを採用しているのでごく自然だとは思うが、無くしてしまってダブロンを認めた方が、悲劇や大逆転が生まれて盛り上がるのは間違いない。)
さて2着目で南3局まで進めていた寿人の5巡目
寿人はこのをツモ切った。
をツモってのカン待ちはいらないよ、ということだがカンをツモってのテンパイ逃しや345の三色を逃すロスもある。
さきほどの打と似ている。
を先に切ることにより、から入った時の待ちリーチを強くすることができ、先制リーチを受けた場合はを切って1巡進退を保留できる。
ロスはだけだと考えれば、赤もドラもないこの手牌での打は攻守兼用のスタイリッシュな選択と言えるのではないか。
なんでも目一杯構えがちな私はこういうのが真似できない。