セミファイナルはもう始まっている 負けた本田朋広に見たチーム雷電、ファイナル初進出への希望【Mリーグ2022-23観戦記2/7】担当記者:ZERO / 沖中祐也

これをリーチしてツモるが一発や裏ドラに恵まれず500/1000のアガリ。
火力が足りず、松ヶ瀬には一歩及ばなかった。

佐々木寿人 +7.5 2着

 

本田朋広の場合

この日、一番印象に残ったのは本田である。

本田は攻めた。
松ヶ瀬の仮テンに3200の放銃をして迎えた東2局

本田はここから【4ピン】をツモ切り。
前巡の打【3マン】もそうだが、ジュンチャンを強く見て「外に寄せ」ていく。

形が悪いからこそ手役を残す選択である。

寿人からリーチが入ったところで

一発消しを兼ねてこの【2マン】をチー。無筋の【2ピン】をプッシュした。
手役を追ったからこそ仕掛けて攻め返すことができる。

次にツモってきた【7ピン】をツモ切ると…

寿人のリーチ・ピンフ・ドラ2の満貫にダイブ。

【8マン】【7ピン】【8ピン】【9ピン】【1ソウ】【1ソウ】【1ソウ】【7ソウ】【8ソウ】【9ソウ】 チー【2マン横向き】【1マン】【3マン】

うまくいけば、ジュンチャン・三色・ドラ1やジュンチャン・ドラ3の満貫が見えるが受け入れ枚数は広くない。
【7ピン】は無謀に見えるかもしれないが、寿人のリーチはまだ4筋しか通っていない上に愚形も十分考えられる。そしてもとより安全牌が1枚もない。
それならば自分のアガリの可能性を追ったほうがマシ、という判断だ。

続く東3局、寿人のアガリを頭ハネした局だが、この局も本田は攻めた。

寿人のリーチを受け、この【3ソウ】をチーしたわけだが出ていく【7ソウ】は一応筋。
ただ、この時の寿人はドラの【中】を切って1巡置いてのツモ切りリーチだった。

筋の【7ソウ】はいかにもありそうで自分の手牌は片アガリの1000点…と考えるとスルーする打ち手も多そうだ。少なくとも雷電のメンバーでこれを鳴くのは本田だけだと思う。

結果的に寿人の独走を止める頭ハネをものにしたのだ。

こうして迎えた親番、松ヶ瀬のリーチを受けた一発。

本田はこの【8ピン】を切って、リーチ・一発・ピンフ・裏1の満貫に放銃した。

「オリる気はサラサラなかった」
と語る本田。
「ただ、それまでの手組に問題はあったかも」
と反省する。
問題があるとすれば5巡前のこの場面。

ほぼチートイツトイトイとなった【3ピン】ツモで、【發】を残して【2ソウ】【6ソウ】を切る手はあった。
チートイツには「イーシャンテンを安全に維持すること=押し返し力」という公式があり、浮いている3枚はできるだけ安全度の高い牌を持つことが大事である。

とはいえ5巡目に2枚切れの字牌を持つのが正解かどうかは微妙なところ。

本田の放銃は致し方ないとも見える。
だがイーシャンテンで満貫に二回も放銃してしまった。

問題は、この後どう打つか… である。

7800点持ちのラス目で迎えた南1局。本田の手が止まる。

パッと見れば【5マン】を切り、いわゆる「完全イーシャンテン」というやつに構える手牌だ。
だがそう簡単にはいかない理由がある。

親の寿人(下家)の仕掛けを見てほしい。マンズのホンイツ… じゃないかもしれないが、少なくともマンズをたくさん抱えていそうであり、そこに向けてマンズを2枚切るプランはいかがなものだろうか。
加えてドラが【2マン】とあらば、ここを固定して【東】のトイツ落としをする手が無難に見える。

この瞬間、本田の頭の中をどのような想いが駆け巡ったのだろう。
連続放銃… MVP争い… チームの危機…
親に対して、マンズ2枚は… 危険?

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