その日、男たちは修羅と化した。卓上で繰り広げられた、戦闘の果て【Mリーグ2022-23観戦記2/27】担当記者:渡邉浩史郎

仲林の手が止まる。多井の切った【7マン】をチーといえば【2マン】【5マン】【8マン】の三面張に取ることができる。
待ちの広さがアガリに繋がると見るならチーの一手だ。

しかしここはスルー! 自身から五枚見えている【3マン】【6マン】を切ることはかなり高い放銃リスクを背負うことになる。【6マン】が通らないのであれば、その後の三面張のアガリ率がいくら高くても無駄であると判断した。

仲林の見事な放銃回避で二人の捲り合い。と思われたが……

最終手番、突如として園田が来た!
聴牌からスライド、完全安全牌の【1マン】を切ってのツモ番なしリーチ!
放銃のリスクを背負わずに出アガリできるなら当然高いほうがいい。多井・仲林に戦慄が走る。

多井のツモは……

アガリも放銃も発生せず!

仲林の海底ツモは……

【3マン】だ! これは海底もついて、大きな4000オールの収入! 多井を捲って一旦3着目に!

息の詰まる終盤戦の大勝負、余りの展開の濃さに皆さんついてこられているだろうか。

ここらで一旦深呼吸をして、目薬を差してから【南2局1本場】に入ろう。

仲林がタンヤオの仕掛けから発進。まずは二着目の萩原を捉えておきたい。

この仕掛けを受けて、萩原も間に合わないと判断。
W【南】バックのマンガン聴牌を取る。

聴牌を入れた仲林が引いてきたのは無情の【南】

「いやー(【南】は)止まるでしょ」
さも当然のようにそう言い放つのは解説の土田浩翔
言い終わるや否や仲林が切った牌は【4マン】だった。

萩原の河が役牌に見える
⇒候補はW【南】【中】だが、萩原の仕掛けということを考慮するとW【南】バックのことのほうが多そう
⇒仲林はこの点差であればW【南】暗刻の可能性もあるといって押すのではなく、安全に聴牌を取る方法を模索する

解説の土田浩翔の、仲林の実力に対する信頼度が伺えよう。

しかしここは萩原も意地を見せる。もう一枚の【南】をツモリ上げて、再び仲林を引き離すと同時に親を落とす!

そして迎えた南場の親番。

雷電には歓喜の、ドリブンズには悲鳴の6000オール!

24000点差を一気に詰め寄り、さすがの園田にも焦りが伺える。

オーラスに向けて、全員にとってここが勝負所の【南3局2本場】が始まる。

まずは仲林の先制リーチが飛んでくる。こうなると園田は降りに回らざるを得ない。園田は天に祈る、最も自分に都合のいい展開になってくれと。

園田の願いが通じたか、ここで多井がドラ暗刻を入れてくる!
ただでさえ降りないライバルのリーチ。全面闘争の構えだ!

【8ソウ】ポンから入り、聴牌!

決着は早かった。

仲林の筋になったばかりの【2ソウ】待ち、一向聴の萩原から捉える!

これは園田にとっても望外のうれしさ。オーラス萩原は跳満ツモ条件。
雷電からすればドリブンズのトップは許容範囲であるため、無理に捲りにこようとはしてこないだろう。

全ては園田の思うがままに、仲林の早いリーチがかかって早々に萩原は遠回りを余儀なくされる。
結果、多井と仲林の二人聴牌で、このロングゲームは終わりを迎えた。

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