セミファイナルの荒波を乗り越えろ! 全てを託された 鈴木優の押し引き【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記5/1】担当記者:徳岡明信

無筋の【5マン】をさも安全牌かの如くさらっと押していく。

(あ~あぁ~…優さんまたきちゃってるよぉ~…)

【4ソウ】を持って来て優の動きが止まった。

松本のリーチは
【3ソウ】手出し→3巡後に【2ソウ】手出しでリーチ
である。

【3ソウ】を先に切っているのにまだ【2ソウ】を手に残していた。
この切り順でよくあるパターンは
【2ソウ】【2ソウ】【3ソウ】【3ソウ】からの【3ソウ】切りで【2ソウ】は縦のフォロー牌として持っていたというパターンだ。

埋まっていないケースも充分にある。入り目のケースもある。

今回はチートイツの待ち変えのパターンではあるが、
松本が普通のメンツ手であった場合、体感50%くらいで出てきそうな【1ソウ】【4ソウ】だ。

しかし優はぶった切る。
50%を無理矢理通しにいったのだ。

(50%が怖くて麻雀が出来っかよ)
そう聞こえてきそうな優の渋い表情。

これを通して優は勝ってきた。そしてこの舞台に上がってきたのだ。

直後に内川から追いかけリーチが入る。
ドラ表示牌に1枚と松本の河に1枚、
圧倒的に待ちは弱いし現物待ちなのでとてもダマテンに構えたい。

しかし何度も重ねて心苦しいが、KADOKAWAサクラナイツの絶望的なチームポイント状況の中でこの手を交わし手にしている暇は無いのだ。

「強気のリーチ」というよりは、
「打たされたリーチ」という表現が合う。

2軒リーチを受けて優が持ってきたのは【9ピン】
両者に通ってなくて、【5ピン】先切りの【1ピン】【4ピン】が否定されている松本にはとても危険な筋だ。

ここで優も勇気の撤退に踏み切った。
この押し引きバランスまで含めての「戦闘民族」である。
ただただ押すだけでは無い。
鋭い読みを駆使してギリギリまで押し、ここでやめると決めたらしっかりオリる。

この局は決着つかずの松本と内川の2人テンパイで流局。
アガリは出なかったが、優の押し引きバランスが面白くてとても印象に残る局となった。

次局の東4局2本場は優が電光石火のアガリを決めて南場へと突入する。

南1局2本場

松本がテンパイを果たすが待ちの【2ピン】【5ピン】は場に5枚見えている。
ここはテンパイを取ってダマテンとする。

前巡に【2マン】【5マン】のノベタンでテンパイするも、123の三色変化などを見てダマテンとしていた黒沢。
しかし時間的余裕も無いと見てここでツモ切りリーチとして他家の足止めに踏みきった。

メンホンのイーシャンテンだった内川。
黒沢の宣言牌である2枚目の発を鳴いてしぶしぶテンパイをとった。
ドラの【9マン】【赤5マン】引きでの道中の満貫の手替わりルートは多い。

黒沢の親リーチと内川の仕掛けに挟まれた優。
後に来るかもしれない松本と黒沢のリーチにも安全牌の【1ピン】を残して先に松本に通ってない【2ピン】を切るとこれが時すでに遅し。

松本にとっては値千金の3900は4500のアガリ。

優にとっては痛恨の3900は4500。

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