元気な「こんもこ」が聞きたい
進む先は苦難の道
それでも咲乃もこは
歩き続ける
咲乃もこが所属するチームアトラスの成績は、今の所順調といって差し支えない。
第5試合が始まる前のチームスコアは70.1。
今シーズンからの初参戦である勝がトップを勝ち取ったり、歌衣が派手に放銃したりアガったりを繰り返して2着をとったり。
そして監督である村上は今日の第1試合で堅実な打ちまわしで2着を獲得した。
そう。あとは咲乃の調子さえ上向けば、アトラスは完全に絶好調と言って差し支えないだろう状況なのだ。
昨シーズンの話をしよう。
ランク制が設けられていた昨シーズン。雀魂内でのランクが魂天である咲乃は、Aランク選手として期待されてアキレスに指名された。
その結果は。
チームは最下位で敗退。
個人成績は最終戦でプラスにこそなったものの、条件戦の意味合いが大きかった最終戦はアガらせてもらえる立場だったこともあり、素直にプラスと喜ぶのは難しいだろう。
昨年、優勝の条件が絶望的であっても、咲乃含めアキレスの面々は最後まで笑顔で戦い抜いた。
その姿に胸を打たれた者も多く、私もその1人だった。
私は咲乃が去年の最終節に臨んだ際、その配信のタイトルにした言葉がとても、とても好きだった。
しかし咲乃はそんな中で責任も感じていただろう。
人一倍麻雀という競技に対して真面目に取り組む咲乃だからこそ。
自分がもっと勝てれば、とそう思ったはずだ。
年が変わり、咲乃はアトラスの村上監督から指名を受けた。
新天地での初戦は3着。まだ納得できる結果は残せていない。
今日こそ、悲願のトップへ。
咲乃が苦難の道を歩き出す。
第5試合
東家 咲乃もこ (チームアトラス)
南家 ルイス・キャミー(チームゼウス)
西家 天開司 (チームグラディウス)
北家 緑仙 (チームヘラクレス)
東1局
東パツの親番となった咲乃。
その手には先制パンチが打てそうな良い配牌が入っていた。
を引き入れて、選択。
一見、一気通貫が見えそうだが、そのためにはという良いターツを外す必要があるので、ほとんどの場合この手は一気通貫にはならない。
なので、から外す。
普通に見えるこの外し手順も、から外すことで先にを引いた際に切りリーチでタンヤオまで見えるという狙いがあるのだ。
この辺りの丁寧さに、咲乃の研鑽が見え隠れしている。
を引いて、切りのリーチへ。
役こそリーチピンフのみだが、ツモって裏が1枚でも乗れば2600オールと、途端に打点が跳ね上がる可能性を秘めている。
リーチを受けて困ったのは今日が神域リーグデビュー戦となる緑仙だ。
上家の天開が切ったをチーすればカンのテンパイだが……
これをスルー。そして引き入れたのは急所のカン。
先ほどのをチーしてのカンテンパイは親のリーチにを勝負するほどではなかったが、これは話が別。
は勝負に値する待ちであると判断し、を勝負。
次巡持ってきたのは、ドラの。
ここで選択だ。を勝負してに受けるか、を勝負してとのシャンポンに受けるか。
緑仙が選んだのは、後者だった。
本人は「ドラ切れないよ」と後ろ向きな発言をしていたが、良い選択だと思う。
これなら発でもでも満貫で価値のある手で、対面のルイスが切ったが前巡に通っていて、もしかしたらルイスが対子落としかもしれないからだ。
緑仙のこの判断が