【 #神域リーグ2023 第二節第5試合観戦記】元気な「こんもこ」が聞きたい　進む先は苦難の道　それでも咲乃もこは歩き続ける【文 #後藤哲冶 】

しかしそんな２人の気迫を。

ゼウスの誇る可憐な大怪盗が横から掠め取った。
2000、4000の加点で更に大きなトップ目に立ち、追い上げてきた天開に親被りをさせることに成功。

ルイスの勢いは止まらない。

続く東４局も鮮やかに3900を天開から奪い、大きなリードを奪うことに成功。

勝負は南場へ。

親番を迎えた咲乃。
落とせない南場の親番は……絶望的な配牌と共にやってきた。

中盤に差し掛かっても、ツモが効いてこない。
タンヤオにも行けず、チートイツも捨てれず。
重苦しい空気を吹き飛ばすように、咲乃が己を鼓舞し続ける。

しかしそんな咲乃を嘲笑うかのように、２者からリーチがかかる。
撤退せざるを得ない。対２家リーチに押すことがどれだけ期待値の低い行為かを咲乃が知っているからこそ、オリざるを得ない。
これはチーム戦だから。悔しい思いをぐっとこらえて、咲乃が一歩後退する。

少しだけ時間を巻き戻そう。
緑仙のリーチを受けて、天開がテンパイを入れたシーン。
ドラこそ１枚あるが、待ちはカンと良くはない。

それでも天開は勝負に出た。
少し分の悪い勝負でも、チームの状況を打開するために、勝ちを狙いに行く。

実際、緑仙のチートイツドラ単騎のと、天開のカンの枚数は同じだった。
１対１。
つまり５分。
開幕日にチームに降りかかった不運を考えれば、これくらいの勝負は勝てて良いはずなんだ。

……しかしそうならないのが、麻雀というゲームの恐ろしいところだった。
確立という名の波は、いつだって平等に、そして無慈悲に。結果を運んでくる。
これで天開も、再びラス争いに突き落とされた。

点数状況が大きく変わらないまま、第５試合はオーラスへ。

オーラスを迎え、咲乃が３着へ上がる条件は1000点でもいいからアガること。
咲乃はこのペンから仕掛けた。

ドラのが対子に。
打点がいらない今の状況を考えると普段よりは喜びは少ないが、それでもチャンタの雀頭に使える牌だ。
仮に出てきたらポンもできることを考えれば、悪くない。

を引いて、打。
チャンタの他に一気通貫も見えてきた。
この辺りの役に対する嗅覚は、流石の一言。
見えてきた細い、細い糸。
３着は最良の結果とはいえない。それでも少しでも良い結果を持ち帰るために咲乃が進む。

切ったにポンの声がかかり、緑仙の手役がホンイツであることがわかった。
そして持ってくる、。

緑仙の手役がホンイツであることも考えれば、これは当たり得る牌だ。
しかし、まだ緑仙からマンズは余っていない。
まだテンパイとは限らない。

自分の手も、まだアガリには遠い。とはいえ咲乃は４着で、アガリへのルートは見えている。
ホンイツである緑仙は、マンズ以外の数牌は切ってくれる確率も高い。

全ての状況を把握した上で、咲乃はこのを先に切り離す判断を下す。