【 #神域リーグ2023 第三節第7試合観戦記】白雪レイドの麻雀は ”神”の喉元を食い破るか【文 #後藤哲冶 】

神の思うままにはさせない。
全能の神が描いたシナリオを――

強運神が食い破る！
狙い通りのツモ

「負けてらんねえんだよなあ……去年の分がまだあるから」

辛酸はもうたくさん味わった。
まだ、まだ足りない。
勝利に飢える闇の雀士が、この一撃でトップ目に躍り出る。

南４局は、１本場へ。

トップ目争いが熾烈になる一方で、３着争いも激化していた。
村上と緑仙の点差は1200点。１本場も含めれば、1000点でも逆転する。

村上が仕掛ける。
しかし村上は、この状況で別の危険を察知していた。

「たろうさん早いな」

村上の経験が訴える。対面に座るゼウスが、もう臨戦態勢に入っていることを。

呼応するように、白雪もチー。
狙いはジュンチャン。白雪自身も言っていたが、前提としてこの局はノーテン罰符でも逆転されてしまうため、テンパイを目指さなければならない。
だからこその、チー。

しかしそこに襲い来るは、麻雀界のゼウスたろう。
待ちのリーチは、アガればもちろんトップだ。

白雪が静かに点棒状況を確認する。

「2200点差……監督に2300打てない」

村上の仕掛けは赤が入っており、最低でも2000点。１本場の300点を含めると、村上に打っても白雪は２着から落ちてしまう。

「テンパイは取んなくちゃ」

その上、ノーテン罰符でも捲られてしまう。
残された道は、流局でテンパイを取り切るか、村上がたろうからアガるか、だ。

最後まで諦めない。
白雪がテンパイへの道を探りながら進む。
本当に厳しかった展開から、ここまできたのだ。
なんとかトップを――

そんな白雪の願いは、ゼウスのツモによって絶たれることになるのだった。

トップは、ゼウス鈴木たろう。
これぞトッププロという打ち回しで、見事なトップ。

決め台詞は、全然カッコ良くなかった気もするが、ご愛敬。
きっとクラスメイト（？）の皆は笑顔で迎えてくれたはずだ。

４着は村上。代名詞のリーチは打てるものの、アガリまでが結びつかない苦しい半荘で、悔しいラス。
緑仙は勝負手こそたくさん来たが、なかなか実らずこちらも悔しい３着となった。

試合後。
インタビューも挟まずすぐに牌譜を確認しに行く白雪の姿があった。

何か変えられることはなかったか。
自分の選んだ道は正解だったのか。

確かめたい。そんな想いが白雪を突き動かしている。

……強運神、なんて。
そんな名前をつけてはいるが、彼の強さの本質は、きっと運に依るところではない。
この、麻雀に対するあくなき向上心こそが、彼をもっと上へ上へと押し上げてくれるのだ。

次こそは、神をも砕くと決意を宿して。

白雪レイドの成長は、まだまだ終わらない。