【 #神域リーグ2023 第6節第18試合観戦記】苦しむ中で、得たのは〝宝〟全ての局、全ての一打が　渋谷ハルを成長させる糧となる【文 #後藤哲冶 】

この形からだった。
アガリが近いわけではなく、遠くからなんとかアガリを求める打ち方。
これを、渋谷は看破したのだ。
まだ麻雀を初めて長くない打ち手が、他の神域リーガーが、これを見抜くことができるだろうか？

渋谷はここからの対子落とし。
「タンヤオに当たらない」
村上の手牌をタンヤオと読み切り、チーもさせない上、自分の手も進めることができる。素晴らしい選択。

序盤に切っていたを引き戻して、こののテンパイ。
タンヤオ赤１。で、待ちも良好。これならばドラポン相手でも十分勝負になる。

村上の手も見抜いて、渋谷がこのアガリを掴み取った。
相手の速度、自分の手牌価値。それらを客観的に見て判断した素晴らしい１局だった。

これで２着目に浮上。渋谷はまだまだトップを狙える位置。

しかし。

苦しむチームを救うために出てきたトップ取り渋川先生が、ここから猛威を振るう。
まずは東３局。強烈なダマハネマンを村上から捉える。18000の加点。

続く１本場。
渋谷はこのカンドラ１でリーチ。手変わりはドラが出て行ってしまうものも多い。
ここはリーチで攻め立てる。

それに呼応するように、緑仙もポンしてテンパイで応戦。待ちは。
この局は渋谷と緑仙の一騎打ちになるかと思われた。

そこに割って入るは、トップ目渋川難波。
をリーチしていた渋谷からダマテンで討ち取って9600の加点。

渋川はトップ目にも関わらず渋谷のリーチに対して通っていないやを続けざまにプッシュ。
そこまでするなら、リーチした方が良いのでは？と思う人もいるかもしれない。
しかしこれは、ダマでプッシュが有利。そもそもこの手は出アガリで9600点あり、ツモれば12000。リーチしても出アガリは12000とリーチによる打点上昇はそこまで大きくない。
ダマにしておけば、などをキャッチしての待ち変えなどもあるので、ダマが有利なのだ。
トップ取りに長けた、渋川の猛プッシュが実る。これがトッププロの押し。

「プロが素人いじめて楽しいのかぁ！」

気持ちはとてもわかる。しかし渋川とて負けられない。
チームは崖っぷちで、自分が勝たなければいけないという使命を持ってこの対局に挑んでいるのだ。
渋川の猛攻は終わらない。

東３局２本場、終盤でチートイツドラドラのテンパイを入れた緑仙がリーチ。
なんとかまずは親番を迎えるために緑仙が攻めるも。

またしても制したのは渋川。
麻雀界では魔神とも称される渋川の面目躍如。
まさに魔神の如きアガリラッシュで、その点棒はついに７万点を超えた。

グラディウスの控室は大盛り上がり。

「「「ひ渋強～！」」」

まさに「ひえ～渋川さん強すぎるよ～」の言葉通り。
その強さを遺憾なく発揮している。

東３局３本場。
終わらない。渋川の親番が終わらない。

しかしそんな中でも、渋谷は自らにできる最善を尽くしていた。

ラス目村上からのリーチを受けた一発目。
を引いてテンパイ。待ちは。

ここは勝負。
村上にアガられてしまうとラスまで見えてくる。
まだ東場とはいえ、ここはリーチで勝負に出た。