だ!
中途半端にドラそばへの未練を残さない、きっぱりとした連荘狙いの軽い仕掛け。
ここで、ふと私の脳裏に、Mリーグ1年目の魚谷が思い浮かんだ。
1年目は、軽い仕掛けも交えて戦っていた記憶がある。初めての赤アリでの競技麻雀ということもあって手探りだった中、残念ながら結果は出なかった。
しかし、その経験を魚谷は活かした。
2年目には「価値ある手を作って、後手から押し返す」懐の深い雀風にモデルチェンジ。
破壊力を磨くとともに、手牌のスリム化により守備力もアップさせた魚谷は、見事2019年シーズンのMVPに輝いた。
その魚谷が、再び自分の雀風を変えようとしている。
この局は、
ひたむきな仕掛けが実を結び、魚谷は連荘に成功した。
続く南2局1本場では、
魚谷はここから、
を打った!
今述べたように、昨年度までなら打としてスリム化を狙った先切りをしていたはずだ。
だが、今の魚谷は目一杯構えてテンパイチャンスを広げ、最速リーチからのアガリを見ている!
思うに、
一度成功したスタイルを変えるのには、想像を絶する勇気が必要だっただろう。
しかも、昨年Mリーグでは絶不調だったが、魚谷の場合は他の試合でタイトルを多数獲得し、「結果が出ている」のだ。
それでも、魚谷はMリーグで自らのフォームを変えることを決めた。
覚悟が感じられる、この局での残しであった。
この局は流局となったが、オーラスをトップ目で迎えた魚谷、
をでチーして、タンヤオでの自力決着を目指す。
仕掛けたのは、
ラス目の上家が、条件的に魚谷に対して絞れないのを考えてのことだ。
実際、このイーシャンテンから、魚谷の欲しいやがこぼれ落ちる、
かに見えた。
滝沢は、凄まじい胆力で、場に1枚しか切れていないを切った。七対子では絶好の待ちであるにもかかわらず、だ。
そして、
を重ねてテンパイ! 下家の魚谷をケアしつつ、ハネマン確定の手を作り上げた!
こうなると、トップ目の魚谷はオリとなる。は鳴けない。
タンヤオで仕掛けた親の優は、
必死の形相で、
どちらも通っていないの二択を決断し、テンパイを取りきった。
下家滝沢の6巡目のが手出しだったので、→への変化が濃いと見て、を止めての打だ。
さらに、
萩原もション牌のを勝負しながら、仕掛けを駆使して形式テンパイを維持する。
そして、ハイテイが優に回る。
そこにいたのは、
だ!
リーチ七対子ハイテイ赤ドラドラ。7ハンで12000のアガリ。
滝沢は3着まで浮上。優は手痛いラスに。
そして、萩原と魚谷の勝負は微差で魚谷に軍配が上がった。
結果として、をツモって決めた以前の雀風での小さなアガリが、横移動でのトップを呼びこむ形となった。