更に朝陽は決勝進出を目指しリーチをかける。
タンヤオ、イーペーコーと7700以上が確定した高打点のリーチだ。
これに困ったのは因幡だ。
を引いてテンパイだが、出ていくは朝陽の当たり牌。
ここで朝陽に放銃してしまうと、決勝進出がかなり危うくなってしまう。
何度かその手はに伸びたが、ここはを切ってオリを選択。
冷静な判断で放銃を回避。
結果的に、この放銃回避が決まり手だった。
先ほどの朝陽のリーチが流局し、最後は自分の手で朝陽の親を終わらせ、これで事実上のゲームセット。
準決勝B卓は、松本因幡のまつもとぐみコンビでの決勝進出となったのだった。
これにて、決勝のカードが出そろった。
なんと、決勝は空星因幡松本のヘラクレス包囲陣対、個人軍渋川となった。
これを受けて渋川は「まず誓約書を書いてもらいます。私達は個人優勝のために打ちます、という誓約書をね! これサインしないと決勝戦始まらないんで」
と3人に念押しする。
流石の渋川も、3対1の構図になっては苦しいと見たのか、抗議の声を上げている。
……ちょっと必死すぎやしませんか。
決勝戦
■東家 空星きらめ (チームヘラクレス)
■南家 松本吉弘 (チームヘラクレス)
■西家 因幡はねる (チームヘラクレス)
■北家 渋川難波 (チームグラディウス)
「渋クレス」というコメントまで出たこの決勝戦。
見事に渋川以外はヘラクレスの3人、ということで、今年のヘラクレスの強さを象徴するかのような決勝戦となった。
東1局、まずは先制リーチを打ったのは因幡。
ツモり三暗刻のシャンポンリーチだ。
これに追い付いたのが今年度MVPの空星。
をポンしてチンイツとのシャンポン待ちだ。
ここを制したのは空星。
因幡から12000の直撃でまずはリードを奪うことに成功。
しかし因幡も負けていない。
続く東1局1本場で、すぐに空星から8000点を奪い返す。
本当に渋川の誓約書にサインしたのかというくらいの、ヘラクレス同士での高打点の殴り合い。
決勝戦は開幕から大いに盛り上がっていた。
「こっちは緑仙が腹空かせて待ってんだ」
「そうだそうだ! 皆で分け合うんだ!」
「肉パーティしようねー」
「違う! 個人戦だ! 肉は1人しか食べられませんっていう血判所にサインをしたはずだ」
……早くも意見が対立しているようではあるが。
アウェーな空気感もなんのその。
渋川が因幡と空星のリーチを掻い潜って、3000、6000のツモアガリ。
流石の強さを見せて、これで渋川がトップ目へ。
東4局
渋川のリーチに対して、松本が決死の押しを見せる。
「掴め掴め!」
「これで決める! ツモれば決まりなんや!」