決着はつかず流局となったものの、松本のプッシュに感心するヘラクレスの2人。
「すごいプッシュを見たわ。カッコ良かった~」
「面白かった~これだぜ~!」
東4局は2本場へ。
ドラのをポンした渋川に、因幡がリーチで被せる。
の、高目イーペーコーのリーチ。
これを、渋川から捉えた。
2600点ではあるが、トップ目渋川からの直撃で、まだ勝負はわからないまま南場へと突入する。
南1局
空星があのシーズン中の奇跡を彷彿とさせる大三元テンパイを入れるも、これが不発。
決まれば間違いなく優勝が近づくテンパイだったが、成就とはならず。
南1局1本場
空星が一打目に切ったを、渋川がポン。
今局のドラは、役牌のだ。
「ポンしてる人います! 先生!」
「絶対持ってるじゃんあれ!」
「……ちょっと松本先生、生徒達がうるさいんですけど……」
「いや、うちは自由な校風なんで……」
やんややんやと騒ぎつつ、局が進んでいく。
「松本先生、これはを持っているのではないでしょうか」
「でも俺が役牌ブロックしとくからお前らいけ!」
「おいおいいいのかよ血判の契約書があるぞこっちには」
ついに契約書の誓いはビリビリに破られ、渋川包囲網ができ始めている。
字牌をブロックしきった松本からリーチ。
そして聴牌に無事たどり着いた因幡もリーチ!
この局がこの決勝戦の勝敗を大きく分ける、3件テンパイ。
制したのは――
字牌ブロックから唯一漏れてしまったを松本から捉えた、渋川だった。
「なにやってんのまつー!」
「これはキツイわ」
これで渋川が余りにも大きなアガリを手にし、優勝に大きく近づく。
南3局
ここをクリアすれば、残すは渋川の親番のみ。
ということもあり、渋川が必死のタンヤオ仕掛け。
因幡もこの親は譲れない。松本からのアシストも受けて、待ちのテンパイ。
渋川と、因幡のめくり合い。
因幡がツモれば望みは繋がる。渋川がアガれば、優勝はほぼ渋川のものだ。
最後の、めくり合いは――
ここも、渋川が制して。
見事、渋川がエキシビジョンマッチを優勝という形で終えたのだった。
ヘラクレス包囲網を打ち破り、優勝となった渋川監督。
見事エキシビジョンマッチを制して、渋川九冠(?)となった。
終了後のXでは、喜びのポストをしていた渋川。
チームメイトからは、「絆」という言葉に少し疑惑の声も上がっていたが。
これにて、一夜限りのお祭り、エキシビジョンマッチは幕を閉じた。
チーム内予選に始まり、準決勝決勝。そのどれもが、神域リーグ本選とは違った面白さを演出してくれていて。