勝負の流局
日向藍子が作り上げた
4,000点の壁
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年1月29日
第2試合
東家:醍醐大 (セガサミーフェニックス)
南家:勝又健志 (EX風林火山)
西家:佐々木寿人 (KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:日向藍子 (渋谷ABEMAS)
Mリーグ2023レギュラーシーズン122試合目。
この試合、トップを飾ったのはシーズン2勝目となる日向だった。
各者に手が入り、ぶつかり合う展開の多い試合となったが、決め手となったのは東4局にトップ目の寿人からアガった24,000点だろう。
リーチ海底平和タンヤオ一盃口三色赤の24,000点。
麻雀打ちなら誰もが見とれてしまうような美しいアガりを成就させた。
ここまで放銃こそないものの、他家のツモで点数を削られ10,600点のラス目だった日向は一気にトップ目勝又と5,800点差の2着目まで浮上する。
その後、3着目だった醍醐が追い上げ一時は逆転を許すも、オーラスの親番で連荘に成功しトップを獲得した。
終わってみれば親番での立ち回りがトップの決め手となった訳だが、注目を集めた倍満の他に、2つトップを近づける選択があった。
1つは南1局1本場。
日向の配牌はイーシャンテンだった。
トップ目の勝又との点差は7,100点。ドラが一枚あるので上手くいけば1回のアガリで逆転することができる。
そして瞬く間にテンパイを入れる。
が暗刻になってペン待ちでテンパイ。
愚形とはいえドラが1枚ある先制リーチで、ツモればトップ目に立つことができる。
日向の選択は打。テンパイ取らずだった。
先制リーチも選択肢として充分にあり得るが、日向はより好形を目指して手を組み替える。
すぐにリーチができそうなツモはか・くらいしかないので一見遠回りに見えるが、ソーズの形がなので2~8のソーズをひけば2メンツ+雀頭の候補を作ることができ、スピードも言うほど落ちていない。
例えばを引くと
ツモ
ツモ
ツモ
このように多面張の形を作ることができるのだ。
3巡目なので河から読み取れる情報は少ないが、日向の選択は結果として正しく、は全て他家の手の中にあって1枚も残っていなかった。
打とした後、すぐに→とツモり、待ちでリーチをかける。
このリーチに2着目だった醍醐が放銃。
3,900点を出アガり、日向は2着目になる。
もしペンでリーチをかけていたら、他家に使われていたが出ていた可能性は低く、トップ目から試合を終わらせるために仕掛けていた勝又がアガっていた可能性もあったかもしれない。
もう1つポイントとなったのは、オーラスに入る前の南3局。
日向へ24,000点を放銃し、ラス目となった寿人の親番だ。