さらにさらに…

仲林もようやく追いつき、リーチをカチ込む!
このとき、山にアガリ牌は勝又のが1枚ずついた。
1枚は日向が吸収し、そして

流局した。
テンパイノーテンのやりとりで、わずかに勝又がトップに立つ。
迎えた2本場。
トップの座から陥落した日向にファーストテンパイが入る。

役無しのカン待ち。
解説の朝倉が「日向はオーラスだけギアが変わる」と表現したように、ここで日向は


積極果敢にリーチを打つ。
勝又も仲林もオリる理由が見当たらないこの状況で、打たれるにロンと言えないのは罪すぎる。
このリーチを受けた仲林。

一発でツモってきたのは。
まっすぐ押すならしかないが、仲林は考える。

チームメイトの優が愛してやまないAcid Black Cherryのyasuを模した前髪がわずかに揺れる。
長考の末、仲林が紡ぎ出した回答は

だった。

ツモこそ大激痛となってしまうが、こうしておくことで
~
をツモったときに比較的安全な
を対子落としして回っていける。
決して一発に日和ったわけではない。
自分がアガりたいからこそ、打ち出す牌の種類をより少なく、より安全にしていく必要があるのだ。
実際に日向の待ちであるも吸収することができる。
そして次にツモったのは

だ!
音速でを横に曲げ、リーチを宣言する。
このとき、仲林の待ちであるが4枚、日向の待ちである
も3枚、山に存在した。
決着はつきそうだ。
勝つのは

日向か…
それとも

仲林か。
めくり合いになると、もう何もすることはできない。
その人の努力も実力も何も関係ない。
ファンと同じく、ただただ祈ることしかできないのだ。
日向の待ちであるが、無情にも勝又へと流れていく。

それも3枚も。
このが一枚ほんの少しズレていただけで日向はトップになり+55ptという評価を受け、ひなたんスマイル全開でインタビューを受ける未来はあった。
麻雀はこういうものだとわかっている。
わかっていて、なお麻雀プロをやっているのだ。
「ロン」
ハイテイで日向がツモってきた牌に仲林が声をかける。

12000は12600。
