追う仲林に、再び難解な選択が立ちはだかる。
5巡目に何を切るか?
イーシャンテンには受けておきたいので切る牌はか。
の愚形部分が不満なので、良形変化を残したいところ。
仲林の思考としては、ドラがであること、そしてそのドラをツモったときに345の三色が見え、カンチーなどができることからを切った。
だが打も有力で、本当に難しかったと仲林は語る。
検証してみよう。
は4種類の牌で両面ができる「中ぶくれ」という形だが、もの4種類で両面ができる優秀な形である。
はドラ受けを作ることができるが、場を見るととが1枚ずつ見えており、枚数としては少し弱い。
仲林の言う「をツモってカンチーできる」というメリットはあまりに限定的である上、それならにをツモってもチーができるのでメリットとも思えない。
そもそもできれば大きく加点したい状況で、仕掛けられるメリットはかなり小さいと言って良いのではないか。
なるほど、改めて考えると、打が良さそうに見えてくる。
個人的にも気になったので麻雀AIに聞いてみると…
打でお咎めなし、ただしも十分有力だよ、という評価になった。
(牌の上に伸びているバーがおすすめ度を示しています)
ドラ受けを作れること、三色のなりやすさから、打の方が平均打点が高くなるということか。
そうこうしているうちに、ラス目の本田からのポンが入る。
このとき、場に緊張感が走った。
三者の思考はこうだ。
日向の思考。
本田さん(下家)はポンでが出てきてタンヤオとは思えない。
この浮いている役牌3つを切っていくか?
いや、ポンなら良いけどロンは厳しい。ハネマンをツモられると2着に落ちてしまうのでポンもだめか。
こうして日向は役牌を抱えて切らず、後退を余儀なくされる。
しかし、仲林は別のことを考えていた。
あれ… 日向さん回っているな。
本田は日向からアガらない可能性が高いのに。
よし、まだチャンスはありそうだ。
雷電としてはライバルである風林火山をトップに押し上げることは、差を広げることと同義なので、日向からのアガリはむしろ失点と言えるのだ。
だが待ってほしい。
仮に本田がハネマンテンパイだったとして、たしかに対風林火山だけを考えると日向からアガったときに得るポイント12ptに対し、風林火山が10pt→50ptとポイントを伸ばすので差が40ptついてしまうので、差し引きマイナス28ptになる。
ただライバルは風林火山だけではなく、セガサミーフェニックスやBEASTもいる。
その2チームに対して、12ptずつ加点できると考えると決して悪くはない。
実際本田は
(ポン)
ドラのを固めたトイトイ、つまりハネマンのイーシャンテンだった。
勝又直撃がベストだが、おそらくどこからでもアガるつもりだったと思う。
ではハネマン放銃が許されない勝又はどうだったか。
本田さんは高いかもしれない。安いかもしれない。
テンパっているかもしれないし、オリているかもしれない。
大切なのはわからないことをわかること。
2000点をアガればトップの局面、ここで引くわけにはいかない。
勝又は生牌のを、あまりにもノータイムで河に並べた。
と並んでいる理牌から、をチーしてまでがむしゃらにアガりにいこうという意図を感じる。
普段は冷静な勝又の、崖っぷちの終盤戦で見せる気迫が伝わってくる。
を自ら引き入れ…
をポンしてテンパイ!
1/4のチケットを手に入れるため、トップをもぎ取りにいく!
さらに本田もを暗刻にして追いつく。
ツモれば倍満。日向からの出アガリ以外は3着浮上となるテンパイ!