決めたラスト一回の
その先の未来を──
瀬戸熊直樹が魅せた
スーパープレミアムナイト
文・ZERO / 沖中祐也【火曜担当ライター】2024年3月26日
会場に集まった人は2000人以上だった。
タイトル戦の決勝でも、1卓を10数人が囲んでいた時代。
それがはるか昔に感じるほどの壮観な景色である。
麻雀観戦がここまで人を呼べる時代になったとは。
TOKYO DOME CITY HALLで行われたパブリックビューイング「スーパープレミアムナイト」に全チームの選手が集結したのだ。
選手たちは今一度再確認しただろう。
これだけ多くの人達の応援を受けているんだということを。
さて、今夜戦うのは、ボーダーラインより下の3チームである。
7位・BEASTは金曜日に風林火山との直接対決を残している上での139.5pt差、とまだ逆転が現実的だが、8位・雷電と9位フェニックスの負債は大きく、勝ち上がり条件は相当厳しい。
確率で言ったらほとんど0に近いものであろう。
だが、0でない限りそれを目指すのみだ。
会場から対局室へ向かう戦士たちは、少しも諦めていなかった。
第1試合
東家:高宮まり
KONAMI麻雀格闘倶楽部
4位 +13.3pt
西家:東城りお
セガサミーフェニックス
9位 ▲551.8pt
北家:鈴木大介
BEAST Japanext
7位 ▲254.4pt
実況:松嶋桃
解説:河野直也
その戦士のうちの1人、東城は親の高宮に速度感を感じていた。
だからツモってきたを先に切った。
をポンできるメリットよりも、が切り遅れることのデメリットを優先したのだ。
だが、この守備意識が逆に放銃につながってしまうのだから麻雀は怖い。
を切ったおかげで出るをポンすることができず、ツモってきたを河へ置くと高宮からロンの声。
開けられた手はまさかの18000。
先切りのピントは合っていたのだが、結果は最悪なものになってしまう。
この放銃から始まり、東城は終始苦しい戦いを余儀なくされてしまったのだ。
もう一人の戦士、瀬戸熊はここからを切った。
を切ればイーシャンテンに取れるし、そのにさほど利用価値があるわけでもない。
ただ678の三色にもイッツーにもならず、ドラも出ていくテンパイに魅力は感じない。
3巡目だからこそ許される、高打点狙いである。
強引な高打点狙いは瀬戸熊だけではなかった。