滲んだ視界の先に見えた景色は “U-NEXT Pirates鈴木優”の航海日誌【Mリーグ2023-24観戦記 3/28】担当記者 #後藤哲冶

上下が大きく分かれ得る、この局の結果は。

白鳥のツモアガリで決着となった。
裏こそ乗らなかったものの、2000、4000の加点でトップに立つ。

東4局、優の親番がやってきた。

東3局に優から3900をアガった滝沢が、続けざまに仕掛ける。
【南】をポンして打【4ソウ】でイーシャンテン。ピンズにくっつけば、ホンイツまで見える牌姿だ。

そんな中、親番の優が絶好の赤【赤5マン】を引いてテンパイを入れた……!
セオリーは、【7マン】切りだろう。【4ピン】切りに対して単純に枚数が1枚多く、なにより【7マン】切りはイーペーコーが確定することが大きい。

様々な選択肢があるが……

優が選んだのは、【4ピン】切りリーチ。
優は、滝沢の2打目【6マン】を見逃さなかった。
【6マン】が自分から3枚見えており、【7マン】が使いにくく、滝沢はほとんど持っていない。
滝沢の切り出しから、ピンズのターツを持っていないケースがほとんどなく、それであれば1枚の枚数差はひっくり返ると判断。

優の狙い通り、この時【7マン】は山に3枚全て残っていた。

「ツモ」

平坦なはずの声音の中に僅かな熱を帯びた、アガリ宣言だった。

トップを大きく引き寄せる、6000オールのアガリ。
【4ピン】切りリーチをしていなかったら、たどり着けなかった結果だ。

東4局1本場

ピンズに寄った配牌だった優が、ツモも伸びる。
4巡目にして受け自体は狭いものの、メンゼンホンイツのイーシャンテンだ。

次巡、上家の白鳥から【5ピン】が切られるも、これはスルー。
チーするとテンパイだが、現状ホンイツのみの出アガリ2900。
それよりはメンゼンでのテンパイや、更に形が良くなってのイーペーコーチートイツなどの手役も見た。

優にテンパイが入るより早く、2着目白鳥にテンパイが入った。
【1ソウ】【4ソウ】待ちのピンフリーチ。

その宣言牌【7ピン】を、優がチーして打【2ピン】
こんどは【4ピン】の出アガリ以外で3900になる上、リーチと言われたらこちらも速度を合わせる。柔軟な鳴き。

この西をリーチ者白鳥から捉えた。
3900の1本場4200のアガリで、更にリードを広げる。

東4局2本場

中張牌が多くまとまった形の優。
ここまでは6ブロックに構えていたところに、ツモ【3マン】で選択。
6ブロック継続なら【3マン】切り、5ブロックにするなら、【2ピン】【8ピン】のトイツに手をかけたい。

優が選んだのは【2ピン】だった。
対面の魚谷の河に【9ピン】が早く、【8ピン】が少し良い事と、【5ピン】【6ピン】の形があることから、【7ピン】を引いた時の【5ピン】【6ピン】【7ピン】【8ピン】【8ピン】の連続形が嬉しい。
ドラ【6ピン】を引き入れてのリャンメン変化もあるからだ。

見事この【8ピン】を引き入れて、【4ピン】【7ピン】待ちのドラドラテンパイ。
当然のリーチだ。

これも力強くツモってみせた。
リーチツモ、ドラ赤。4000オールで点棒は58000点。まだ東場とはいえ大きなリード。
MVPは、もうすぐそこまで見えている。

気持ちは昂っていておかしくないのに、ここまでは所作も、アガリを宣言する声も、非常に落ち着いていた。

しかし、次局そんな優の所作に、僅かに力が入った。
それは何故か。

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