滲んだ視界の先に
見えた景色は
“U-NEXT Pirates鈴木優”
の航海日誌
文・後藤哲冶【木曜担当ライター】2024年3月28日
Mリーグレギュラーシーズン最終週。
3月28日の木曜日、シーズン最終戦を迎えるU-NEXT Piratesには、嬉しい悩みがあった。
(画像は第1試合の前。第2試合開始時には優のポイントは350,4にまで増加している)
MVP争い。
個人首位の座に君臨しているのは、過去にMVPを獲ったこともある、パイレーツ所属の瑞原明奈。
それに追随するのは、この日の第1試合で見事トップを獲得した同チームの鈴木優だった。
瑞原を出すか、優を出すか。
どちらの選択もとれたが、パイレーツが選んだのは。
優の連闘だった。
チーム内で、どのようなやりとりが行われたかは、わからない。
瑞原だってもちろん、MVPを獲りたいはず。それでも、2連勝してくれるならと、笑顔で送り出したのだ。
背中に、想いは込められた。
その期待に、応えたい。
戦闘民族が牙を剝き出しにして、シーズン最終戦へと挑む。
3月28日 第2試合
東家 滝沢和典 (KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家 魚谷侑未 (セガサミーフェニックス)
西家 白鳥翔 (渋谷ABEMAS)
北家 鈴木優 (U-NEXT Pirates)
東1局は流局で、1本場。
をポンしている親の滝沢が、この手格好から打。
ドラであるのターツは残しつつ、を縦に引いた時の最終形と、トイトイまでを見れる良い一打だ。
格闘倶楽部も、5位アベマズとの差は広げておきたい。
レギュラーシーズンが終わった後、セミファイナルで標的となるのは現状自分たちなのだ。
中盤から仕掛けの滝沢に押し続けた白鳥が、テンパイを入れた。
赤を2枚従えたピンフ待ちテンパイ。もちろんリーチでぶつける。
逆に白鳥は、ここで格闘倶楽部とのポイント差を詰めておきたい。
チームの現在のポイントが-20ptほど。
実は渋谷ABEMASはMリーグが始まってからの5年間、一度もレギュラーシーズンでマイナスになった年がない。
その不敗神話とも言える記録を継続させるためにも、大き目の2着か、トップが欲しいところだ。
優が、を引き入れて形が引き締まった。
形上はを切りたいが、ワンチャンスとはいえ通ってはいない牌。
リーチにも仕掛けている滝沢にも通っているため、ここは切りで形を維持するかと思われたが。
優の選択は切り。
引きでのテンパイすらも逃さないという意志の表れた一打だ。
優は確実に、トップを獲りに来ている。
滝沢が、ペンテンパイからも暗刻にして一気に大物手に。
トイトイ三暗刻ドラドラの18000テンパイ。
切りからの構想が見事にハマった。
ドラのがまだ山に2枚眠っている。