平成の手役派
闘士☆渋川老
文・坪川義昭【金曜担当ライター】2024年10月25日
第2試合
東家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
西家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:小林剛(U-NEXT Pirates)
【魔神】の愛称でお馴染みの渋川難波だが、プロデビューするさらに昔、20年前は【闘士☆渋川老】としてネット麻雀界で名を馳せていたのをご存知だろうか。
この頃、渋川はまだ広島県で大学生として勉学に励みながら麻雀を嗜んでいた。
当時はSNSも発達しておらず、あったものといえばmixiとブログくらいだろうか。
そんな田舎の大学生が書いている麻雀戦術ブログがあまりにも衝撃的だったことを今でも覚えている。
同い年の大学生が今でこそ市民権を得た『スライド読み』についての解説を執筆していたのだ。当時この読みについては、プロ業界では語られていたかもしれないが、一般的ではなかった。
そこから数年後、雑誌で連載をスタートさせ一躍時の人となりプロデビューし、間も無く第11期雀竜位のビッグタイトルを獲得する。
当時は今とは正反対の麻雀を打ち、速攻重視で身軽さを武器に麻雀業界を席巻していた。
大学生の頃のブログは既に消えてしまっているが、プロになって間もない時代のブログは今でも残っている。
http://blog.livedoor.jp/sibukawa/?p=2
ここから10年以上の時を経て、闘士☆渋川老は超手役派の魔神渋川難波となった。
東1局
松本吉弘が先制リーチを放つ。
既にテンパイが入り、ヤミテンに構えていた小林剛も追っかけリーチと出た。
簡単に親番を明け渡すわけにはいかない渋川難波も不本意ではあるがチャンタ・三色のチーテンを入れて対抗する。
ここは松本がメンピンをツモアガリ。
裏ドラを捲るとが転がった。
東3局1本場
今度は小林が先手を取ってリーチ。
これを受けた渋川が手を止める。
現物はだけであり、手もそこまで崩れない。
しかし、選んだのは打だった。
を切ってしまっては手牌の価値は半減し、このあとほとんどオリ一択になってしまうのを嫌がっているのだ。
この後切るのはならば、一巡前に切って押し返せるツモが来たならば全軍突撃の構えである。
こうきたならば、無筋のなんてヘッチャラになる。
ツモが押し寄せてくる。
ここはどちらも現物になっているマンズを払うしかない。
はノーチャンスとはいえ、は通っていない。.
勢いよくを渋川は叩き付ける。
確かにこうすれば食っても満貫のイーシャンテンではあるが、並の打ち手じゃ勇気が出ない。
こんな裏目を引くことがあっても気にはしない。
終盤にフリテンを解消してテンパイを入れた。
自身の手牌価値を最大限に高めて、退路を断つ渋川流が炸裂。