踏み込む堀慎吾
掴みとった、大きな1勝
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年4月15日
第2試合
東家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
南家:二階堂亜樹(EX風林火山)
西家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
北家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
Mリーグ2023セミファイナル10試合目。
トップを取ったのはセミファイナル2試合目の登板となった堀慎吾。
セミファイナルが始まってから、ここまでトップが無かったサクラナイツにとって、待望の1勝目となった。
1戦目渋川の2着と合わせ66.2ptをプラスし、チームランキング3位に踏みとどまった。
堀はこの試合で、勝負手を2回成就させた。
1回目は東3局。
リーチ一発ツモ・平和タンヤオ・赤2ドラの4,000-8,000点をツモり、4万点越えのトップ目に立つ。
選択が訪れたのは8巡目。
かを切ればイーシャンテンになるが、ペンの愚形が残っていて打点も低い。
自分の手だけを見て進めるのであれば、を切ってリャンシャンテンに戻したい。
打点を考慮するとを残したいが、を引いてリャンメンができたとしてもの二度受けになってしまう。
そのため引きのダイレクトテンパイは逃してしまうが、周りで好形を作る選択肢を残しておく。ピンズでも・を引けば良い形になる。
ただ、手の中が真ん中の牌だけになってしまうので守備力が不安になる。現状早そうな他家はいないが、はが3枚見えているので、どこからリーチが飛んできてもとりあえず1巡は凌ぐことができる。
攻撃のために踏み込むか、それともバランスを取った選択をするか。
長考の末、堀は踏み込む選択をした。
・・周り全ての変化を見た打。
勝負所と見て自身の手の価値を最大限に活かす道を選ぶ。
ぱっと見受け駒がなく不安定に見えるが、白鳥からリーチがくればの対子落とし、優からリーチがくれば・を落としつつカンの形を維持して押し返すこともできる。
ただ、2巡目からツモ切りを続けている亜樹の現物は一枚も無いため、リーチがくれば目をつぶって立ち向かうしかない。
この攻撃的な選択が、功を奏した。
次巡、絶好のを引き、
・と引いてリーチ。
冒頭の4,000-8,000点ツモへと繋がる。
8巡目の選択後、有効牌をたくさん引いていたので、恐らくを切っていなくとも堀のアガリだっただろう。
たとえば、8巡目にではなくを切っているとこのようなアガリ形になっている。
これでもリーチツモ平和赤赤ドラの3,000-6,000点になっていたと思われる。
ただ、この跳満を倍満にしたのが非常に大きかった。
倍満を親被りしたのはトップ目だった優で、跳満が倍満になったことで6,000点分多く差が開いたことになる。
オーラス、トップ目堀と2着目優の点差は7,600点だった。
優は打点が見込めない配牌で満貫を作らなければいけないという厳しいオーラスになっていたが、もし6,000点差がなく、オーラス時点での点差が1,600点だった場合、優の手作りも堀の進行も、全く別の局になっていただろう。
ほんの少しではあるが、意思を持って踏み込んだ結果が、オーラスの点差を作り上げたと言える。
もう1つ、決め手となったのは南1局。
倍満をツモってトップ目になった堀だが、下家の親番白鳥がでチーをしてきたところ。
対して、堀の手牌。ドラはだ。