チームへの「責任」〜鈴木たろう、苦渋の和了【Mリーグ2023-24ファイナル観戦記 5/17】担当記者 千嶋辰治


さらに優は【6マン】ポンでがむしゃらに前へ。

 


優の決意のほどを見届けたたろう。
ならば、受けて立つ。


ピンズの両面ターツを外し、トイトイに向かうと場が呼応。
【9ソウ】を首尾よく暗刻にしてイーシャンテン。


優がご覧のイーシャンテンに漕ぎ着けたタイミングで、たろうが狙いどおりのテンパイへと辿り着く。


【3ピン】【9ピン】待ちはどちらが出ても50符で9,600点。
さらにツモると三暗刻がついて4,000オール。
これは喉から手が出るほど欲しい和了。

しかし。


優が絶好のカン【3ソウ】を引き入れてテンパイ。
そして、

 


タンヤオのテンパイを入れた岡田、ドラの【8ピン】を切りきれずに切った【5ソウ】が優への放銃。
期せずして行われた連携プレーで、たろうのビッグチャンスを潰すことに成功した格好。
打ち上げた岡田にしても、たろうの親を落とせたなら2,000点の支払いは悪くない結末と言えるだろう。

利害が一致した3人を向こうに回して、ドリブンズ2位陥落へのシナリオが現実味を帯びてきた。

たろうとしては、自分が4位となったとしても岡田か亜樹のどちらかにさえトップを取られなければ2位陥落の危機を遠ざけることができる。
そのために、どちらか一人でも蹴落としておきたい。

続く南2局。ドラは【2マン】
たろう、中盤にテンパイ一番乗り。


567三色赤の5,200点をヤミテン。待ちはカン【6ピン】
4番手とはいえ、ラス抜けに照準を合わせれば悲観的な点差ではないことから、ここは無理にリーチ棒を振り回さず息をひそめた。
が、これが悲しいことに、


当面のライバルである両者に2枚ずつ持たれていてカラテン。
さらに、両者にはご覧のとおり好形の手牌が入っていて万事休すの展開。

しかし、この局の結末がたろうの和了になるのだから麻雀は面白い。


ドラ暗刻の勝負手が入った亜樹。終盤にようやくテンパイして待ち選択。
【5ピン】【8ピン】は自分の目から5枚見えている。


顔をしかめながらの長考の末、打ち出されたのは…


【6ピン】だ!


辛くも一矢報いることに成功したが、たろうは未だ4番手のまま。
予断を許さない状況に変わりはない。

続く南3局は岡田が1,300-2,600のツモ和了り。


そして各選手の持ち点はご覧のとおり。


接戦となったオーラス。
選手の個人的な思いなどは抜きにして、チーム状況のみを考えれば優が連荘を狙う可能性は低い。
つまり、1局勝負が濃厚な状況である。
さらに、岡田と亜樹の間でトップ争いはあるだろうが、たろうの4位は他三者が望んでいるところ。

圧倒的な逆風に立たされた「ゼウス」たろうの配牌。


ラス抜けには亜樹か優から3,900点以上、岡田からは6,400以上の直撃。ツモなら1,000-2,000以上が必要。
ちなみに、3,000-6,000ツモだとトップまで突き抜ける。

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