幾度の眠れぬ夜を越えて…
私の未来は、私が決める──!
咲乃もこ。
趣味はゲーム。
特技は深酒。
見る人も、共演者も、誰も傷つけない「優しくて楽しい配信」が魅力のストリーマーだ。
麻雀は、雀魂が魂天、天鳳が八段。相当の実力者である。
そんな咲乃もこを、“悪夢”が襲った。
神域リーグ2024第一節。
開幕2戦を任されたもこは、3着、4着。
しかも、
2戦目のラスは、なんと-39700点。
2戦でのマイナスは、100を超えた。
神域リーグ2024のトレンド入り。活躍する選手の華やかな姿。
その陰で、心配をかけまいと気丈に振る舞う、彼女の心は泣いていた。
神域リーグのラスは、「ズシン」と重く、容赦なく心臓にのしかかってくる。
あれから3週間。
幾度の眠れぬ夜を越えて、
頼もしい仲間の勝利を目に焼き付けて、
たくさんの応援を胸に抱いて、
彼女は立ち上がった。
この日は、2試合目に出場し、
2着。
「みんなと話すと落ち着く」と語る、もこ。
試合後に戻った楽屋で、チームメイトが背中をグッと押し、もこは3試合目も出ることに決めた。
未来を、この手でつかみ取るために。
東家:鈴木たろう(チームゼウス)
南家:長尾景(チームヘラクレス)
西家:咲乃もこ(チームアキレス)
北家:渋川難波(チームグラディウス)
大きなアガリを決めて先制したもこ。
そこへ、Mリーガーたちが襲ってくる。
東2局1本場、仕掛けてきたのは渋川。
オタ風のを鳴いて、手出しでを連打。
あからさまなホンイツ仕掛けだ。
意図的にピンズしか切っていないので、他家の目線ではマンズかソウズか分からない。
足止めも兼ねた頭脳プレーだが、これを受けたもこは、
「下家に鬼絞ったところで、対面と上家が来るから」
と、字牌連打!
この手で親なら攻めるべき。
Mリーガーが作り出す幻影に惑わされない、いい打ち回しだ。
そのまま、
ソウズも押していくもこ。
そして、たろうも長尾も渋川にオリていないことから、
遠い仕掛けの渋川は、守備に回ることとなった。
この局は、
たろうが、赤、500-1000は700-1200のツモアガリ。
続く東3局は、もこに、