国士無双を狙っていた歌衣が、自分の手を諦めてルイスに放銃しない+緑仙に鳴いてテンパイを入れさせないルートを選択。
首位ヘラクレスに対してシビアな良い選択だ。実際、歌衣が止めたは緑仙は喉から手が出るほど欲しい牌。
役満をアガるだけが漢じゃない。
チームにより良い結果を持ち帰るために、歌衣が最後まで歯を食いしばって牌に向き合っている。
条件を達成できる、比較的軽い手が入っていた緑仙だったが、あと1枚が入らない。
終盤に差し掛かり、歌衣の絞りも効いている。
なかなかテンパイが入らないまま、巡目だけが過ぎていく。
渋谷の条件は、跳満のツモアガリ。
手牌の構想力に優れた渋谷が、跳満の見える手のイーシャンテンまで辿り着いていた。
リーチツモ、三色裏等でのトップを狙う。
「か引いてくれたらさぁ……!」
緑仙に切られた1枚目のを、渋谷が歯を食いしばってスルーした。
まだ1枚目、なんとか自力でツモることに賭ける。
ルイスにテンパイが入った……!
タンヤオドラ赤の5800テンパイ。
これをアガれば、ルイスのトップが大きく近づく。
勝負だ。
渋谷がチーを堪えた次巡。
対面の歌衣にも切られ、このが3枚目。
「これ好き放題させてチャンス与えるよりは」
渋谷にとって、ここが限界点。
グラディウスのルイスに高い手をアガられてしまったり、緑仙が逆転してヘラクレスが更にポイントを伸ばすよりは。
この方が良いと判断。
ルイスが切った、にロンの声。
「あ~……」
カットインは、無い。
ルイスが開かれた手を祈るように見つめる。
点数は――
1000点で、終局。
これによって、長い、あまりにも長いグラディウス初トップへの挑戦は、ようやく終わりを告げたのだった。
グラディウス念願の初トップは、ルイス・キャミ―によってもたらされた。
ポイントは、プラス57.6と、トップの中では、決して大きなプラスポイントではない。
けれど。
苦しんで苦しんで苦しんで。
それでも何度も挑戦をし続けた先に、ようやくとれたトップ。
その価値は、ポイント以上にあると言って良いだろう。
チーム状況は依然として芳しくない。
それでも、今日のルイスが持ち帰ったトップで、全員の気持ちは再び上向いた。
レギュラーシーズン、残り3節。
まだグラディウスの槍は、折れちゃいない。