菅原拓也「意志の三色」と
二階堂亜樹の「経験値」
【A卓】担当記者:千嶋辰治 2024年8月4日(日)
東家:松本吉弘(日本プロ麻雀協会)
南家:菅原拓也(RMU)
西家:古橋崇志(日本プロ麻雀連盟)
北家:二階堂亜樹(日本プロ麻雀連盟)
「手牌読み」「河読み」「山読み」といった卓上にまつわるものから、対戦相手の雀風や挙動をよりどころにする「人読み」というものまで。
麻雀にまつわる言葉で「読み」とつく言葉はたくさんある。
今回のグループ10には「読み」に長けたメンバーがオファーされた。
その8人の中で、一際異彩を放つ者。
菅原拓也。
麻雀プロ歴としてはRMUに所属してわずか1年の新鋭。
なぜ彼がこの場にいるのか違和感を持たれた方は少なくないと思う。
念のためそのいきさつを記しておくと、彼が経営する株式会社LUXIAは、Mリーグのセガサミーフェニックス、麻雀遊戯王など麻雀界のさまざまなコンテンツをスポンサードしており、麻雀最強戦もその一つである。
菅原は、麻雀最強戦に協賛するスポンサーの代表が集められて行われた「麻雀最強戦2024スポンサーカップ」にて、先輩プロたちをなぎ倒してこの座を射止めた。
その菅原の対戦相手は二階堂亜樹、松本吉弘のMリーガー二人と、自団体のA1リーグに昇格したばかりで勢いに乗る古橋崇志。
まずは物怖じせず、自分の麻雀をぶつけていけるかどうかが勝負の鍵と思われた。
「絶対振り込まない若社長」
というキャッチがつけられた菅原。
その守備力が持ち味と紹介された菅原だったが、序盤から2連続放銃を喫する。
いずれも1,600、3,900と失点は少なめではあったが、これらの失点に「緊張していた」と語った菅原。
緊張を振り解き、腹を括った攻めを見せたのは東4局だった。
東4局、ドラは。
第1ツモで最大のネックになりそうだったペンをツモ。
789の三色も色濃く見える手牌だが、それ以外の部分で2メンツ完成している。
ピンフ手の速攻で場を制圧し、失地を挽回したいところ。
そして、菅原の4巡目。
出来メンツへさらにをツモ。
ここで菅原の手が止まった。
静かに場を見やる菅原だったが、おそらく視線の先は場に放たれている2枚のだっただろう。
松本、古橋の2者が2巡目にを切っているため、ソーズの上を持たれているケースは少ないとの読みを入れたか?
菅原は河へを静かに置いた。
菅原の読みどおり、この巡目では両者には持たれていなかった。
しかし、こうして構えてしまうと手牌の柔軟性が損なわれてしまう。
解説の勝又健志プロがこのケースに対するデメリットを解説してくれていたが、結果的にそれは杞憂に終わる。
「これは素晴らしいね。」
さまざまなデメリットがあることは菅原もわかっていたはずだ。
しかし、この局はリスクを取ってでも打点を取ることに向かいたい。
菅原の意思ある手筋に、勝又プロも思わず唸った。
菅原はノータイムでリーチを放った。
菅原の最終手出しは3枚切れの。
つまり、菅原の手の残りの12枚は安全牌を持つことが許された十分形である可能性が高い。
おまけにとカンチャンターツが河に添えられている。
このリーチの迫力がどんなものかはお分かりいただけるだろう。