【 #神域リーグ2024 セミファイナル第1試合観戦記】#鈴木勝 が、心から勝利を願い叫んだ。 繋げるか、“奇跡のバトン” 苦難と執念のセミファイナル【文 #後藤哲冶 】

そして仮に、4着目風見がリーチをしてきて、ツモった場合。
なんと勝は……4着にまで落ちてしまい、それはイコール、チームの敗退を意味する。
それだけは、できない。

しかし次巡、【白】を持ってきて事情が変わった。
【白】をカンして、打点が上がり。更に、裏ドラまで1枚増えた。

「アガればええんや……! ろたんから! 」

勝は、リーチを選んだ。
今年何度も何度も、めくり合いに負けてきたリーチ。
怖くないと言えば、きっと嘘になるだろう。それでも、勝は挑んだのだ。

第8節に、チームメイトのルイスが見せた、奇跡の跳満直撃逆転の例もある。
麻雀は、何が起こるか分からないから。

少しでもあるトップの可能性に、勝は懸命に手を伸ばしたのだ。

その結果は、望んだ最良のものではなかったとしても。

勝の決死の努力によって――グラディウスの奇跡のバトンは、確かに繋がったのだった。

勝が、渋川の待つグラディウスの楽屋に帰って来た。

「よくやった! ナイス! 繋いだ繋いだ! 」
「ありがとうございます……! 」

あたたかく迎え入れられて、勝が安堵の息を吐いた。

思い返してみても、勝にとって今年の神域リーグは、「楽しい」よりも「苦しい」が長かったかもしれない。

『いままでとった2着の中で、いっちばん嬉しい2着かもしれない』

……それでも。
今年得た経験も、努力も、そして後悔も。絶対に無駄になんてならないから。

最後まで、麻雀を「楽しい」と言ってくれた勝君に、心からの敬意と、感謝を。

また、楽しそうに麻雀を打っている鈴木勝の姿が見られる事を――心から願っている。

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