”ティタノマキア”を覆すならこの男 無敵のタイタン:竹内元太の快進撃【Mリーグ2024-25観戦記 9/26】担当記者 渡邉浩史郎

”ティタノマキア”を
覆すならこの男
無敵のタイタン:
竹内元太の快進撃

文・渡邉浩史郎【木曜担当ライター】2024年9月26日

第1試合

東家:萩原聖人TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:高宮まりKONAMI麻雀格闘倶楽部
西家:園田賢赤坂ドリブンズ
北家:竹内元太セガサミーフェニックス

titan:ティーターン、またはタイタン

ギリシア神話・ローマ神話に登場する巨神族。ウーラノスとガイアの間に生まれた12柱の神々。
ゼウスやアフロディーテ、冥府の神ハデスといったオリュンポスの神々との戦いは”ティタノマキア”と呼ばれ、タイタンたちは10年の戦いの末に敗北。

かの軍勢を惜しむとしたら、当時この無敵のタイタンがいなかったことだろう。

【東1局】、流れるような美しい竹内の和了りから局は始まった。

まずは二巡目のドラ切り。どうせ重ならなければタンヤオの一飜と同じ。であれば危険度を考えてとっとと切り飛ばす、「特技:ドラ切り」をこの舞台でも発揮する。

5巡目にはソウズの三面張を固定。形がかなり決まっていることはもちろん、親のW【東】切り、園田の【3マン】【2マン】落としも気になるところ。安全牌の【中】を残すバランス。

先制リーチは高宮からだった。宣言牌に合わせた形の園田の【3ピン】を仕掛けていく。
二つ名候補に「ベタオリ大巨人」があるほど守備寄りの竹内だが、流石にこの安全牌ゼロ・良形たっぷりの形からは和了り切るのが最大の守備と見た。【4ソウ】の先切りが4筋プッシュから2筋プッシュへとリスクを抑えてくれている。

現物【8ピン】の受けがあるのもポイント。園田からすれば竹内と高宮が二人で捲り合ってくれれば自身の失点が0になるパターンが増えるため、ドラを切っていてタンヤオ風の竹内にはそこまで絞らないだろう。それが赤の絡みにくい【8ピン】であればなおさらだ。

この辺りは間合いを知っている上家園田との牌を通した会話。結果、高宮の勝負手リーチを躱す300・500の和了りとなった。

そして、【東2局】

竹内の第一ツモ、その右手は高く天を突き破らんとした。

同卓者S「あれは2m50cmくらいは行きましたよ」

タイタンの拳は地を砕く和了りにはならず。しかし……

Wリーチには変わらない!

ここでも単騎選択の妙がある。一般的に役牌よりもオタ風の方が単純に役として使える人が少ない分有利。【東】単騎より【北】単騎のほうが優秀だ。ではなぜ竹内は変えなかったのか?

一つはそれを逆手に取った読みずらし。「七対子であるならば【北】より優秀な単騎であるはず、ならば役牌の【東】の可能性はちょっと薄くなっている」と思わせることであろう。

もう一つは園田の第一打の【中】
園田という人間が、配牌から浮いている役牌から一つ選択する場面を想像してみよう。

いかがだろうか。まず間違いなく親のみ2飜になる【東】からの切り出しになる姿が想像できたのではないだろうか。

さらには高宮の【9ピン】切りにも注目だ。
高宮は親番まっすぐリーチ手順を組む。少しでも鳴かれないように、役牌から切ってオタ風を後に残すこともやる打ち手である。そんな高宮の第一打【9ピン】【北】が一枚手の内に浮いているケースは少ないだろう。

つまり【東】【北】については
【東】
高宮 暗刻or対子or1枚or持っていない
園田 暗刻or対子or持っていない

【北】
高宮 暗刻or対子or持っていない
園田 暗刻or対子or持っていない

こういった関係になっている。ここで大事なのは今回がWリー七対子ということだ。
普通のリーチ七対子は3飜のため、ツモって4飜にすることが打点的に大事になってくる。一方でWリー七対子は既に4飜。ツモの打点上昇が薄く、出和了りをしたいのだ。
巡目が進めば安全牌が増えるため、今打たれやすい牌、つまり今相手が持っている可能性が少しでも高い牌を待ちにしたい。
それと先ほどの読みずらし、出和了り率は【東】にありと竹内は看破したのだ。

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