1年後の巡り合わせ──
再会した2人の物語──
文・小林正和【金曜担当ライター】2024年10月11日
1年後の巡り合わせ──再会した2人の物語──
昨年の新緑が香り立つ季節、新たなMリーガーが誕生していた。
ドラフト会議指名オーディションという険しい道(ロード)を切り開き、山の頂(いただき)に立つ一匹の狼“菅原千瑛”。
そして、総勢175名という数多すぎる敗者の想いを受け取ったその祝福の手の先…
そこにいた漢は一年後、「オオカミのような鋭い爪」ではなく「再び蘇ると言われた橙赤色に輝く羽根」を授かり、突如として彼女の前に姿を現したのである。
その麻雀人生は正に
“不死鳥”
そのもの。
彼の名は
2024-25シーズンより加入した新Mリーガー“浅井堂岐”であった。
南4局
◆菅原
38,900
◆堂岐
43,600
再び巡り合った運命の戦い・第1ラウンド。
上弦の月が照らしているかのような柔らかい光に包まれたスタジオ内、二人には今シーズン初トップのかかる僅差のオーラスが待ち構えているのであった。
第2試合
東家:菅原千瑛(BEAST X)
南家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
西家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
北家:浅井堂岐(セガサミーフェニックス)
今回の観戦記では、とある数字の視点から展開していく。
まずは皆さんには⇩の一覧表をご覧頂きたい。
・菅原…10本
・仲林…5本
・瀬戸熊…0本
・堂岐…0本
菅原が一人飛び抜けて数が多い印象だが、まだ何を表しているか分からないと思うのでヒントを出そう。
⇩は前回・今回の試合後の感想である。
◆先週の試合後・コメント
「去年の方が無邪気だった気がします。」
◆今回の試合後・コメント
「自分らしい麻雀ってなんだっけなぁって考えてて。今日は押し試合になるかなと。」
チームカラーである“獣のような攻撃的麻雀”を私は体現できているのだろうか。
チーメイト・サポーター、そしてオーディションで破れ去った沢山の仲間達に今、自信を持って麻雀が打てていると言えるのだろうか。
「10本」
この数字はテンパイ前に受けたリーチに対して、菅原が放った無筋の本数を表していた。(※安全牌がない牌姿での無筋はカウント無し。)
「テンパイとイーシャンテンは雲泥の差」
同じ土俵にいれば不思議と押せる牌も、一歩遅れを取っているだけでその1牌が押せなくなる感覚。
これは麻雀という性質を知る者なら、誰しもが身に沁みている所だろう。
ましてや相手が親リーチなら…。自身がまだリャンシャンテンなら…。
そんな常識をBEAST Xというチームは覆してきた。