勝って驕らず負けて腐らず
文・越野智紀【火曜担当ライター】2023年4月25日
第2試合
東家:滝沢和典(EX風林火山)
南家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
北家:勝又健志(EX風林火山)
セミファイナルシリーズ十日目は上位4チームが集結しました。
試合直前、張り詰めた空気の中で瀬戸熊選手の摸打の音だけが響く控え室。
そこには「この4チームで仲良くファイナルに行こう!」なんていう甘い考えは一切無く、「出来れば現在敗退ゾーンにいる2チームから狙われる立場にどこか1チームを叩き落し、自チームのファイナル進出を助ける強力な盾にしたい」というゾンビ映画さながらの恐ろしさが見え隠れしていました。
第2試合開始前の段階で下位チームからの押し上げを受け止める盾役として他3チームから期待されていたのが4位のKONAMI麻雀格闘倶楽部でしたが、上位3チームから頭を抑えつけられ下位2チームから脚を掴まれる損な役回りは御免だと
ここまでセミファイナル二連続ラスと苦戦する滝沢選手が個人とチームの現状を打破すべく東1局から奮戦。
まずは早さと安さと待ちの悪さを兼ね備えた親リーチをかけます。
これに追いついたのは勝又選手。
滝沢選手を抑え込めれば自チームのファイナル進出がだいぶ近づくと、試合開始前には算段を立てていましたが
そこは現在1位に与えられた選択肢の広さか、このリーチにリスクを侵すのは元々有利な状況にいる自分の仕事では無いとの暗刻落としに出ました。
全員降ろせれば作戦成功といった滝沢選手でしたが
これがすぐにツモれて1,000オールと、悪くないスタート。
もう少し加点が出来ればマークも外れて仲良し上位チームに戻れそうです。
東1局1本場
リスク少なめリターン多めを注文していた勝又選手はドラ3の配牌が届くも
を仕掛けていた滝沢選手がテンパイするや
これをすぐに察知。
を掴んで速やかに撤退を選択して放銃を回避します。
東1局2本場
我慢の続く勝又選手にチャンスが到来するも、この切りのところで切りもあったと試合後に後悔。
を切ればが嬉しいツモなのに対し、切りだとと受け入れは狭まりますが
元々が2枚切れなことで引いての単騎や引きの期待が薄くなっていたため、1枚の価値よりもを残すことでの重なりの打点や単騎のアガリやすさや攻守のバランスの良さなどが上回っていたのではと考えるも後の祭り。
を重ねてリーチ宣言牌になったが
瀬戸熊選手への放銃という味の悪い結果となりました。
実際にはドラのが山に残っていなかったので、先にを処理したところで裏ドラので放銃かツモられるかの勝負。
または親の滝沢選手に追いつかれて、良くても横移動という厳しい未来しか勝又選手には残されていませんでした。
手順ミスをしたかもと思うと動揺してミスの連鎖が生まれそうなものですが、怒りを力に変える勝又選手は東2局
メンゼンで高打点を狙うには少し時間が掛かりそうな手牌ということで、トイトイやドラ引きで仕掛けての5,200以上の手を狙ってペンチャン落としを選択。
一打目がかかで字牌やトイトイへの警戒度がだいぶ変わってくるので、2つ目以降の鳴きやすさを考えてから切ると
構想通りに手が進み、トイトイ赤で8,000のアガリ。