どこまでも貪欲に、豪胆に
鈴木たろうが放った
会心の一撃
文・後藤哲冶【月曜担当ライター】2024年11月18日
11月18日 第1試合
東家 二階堂瑠美 (EX風林火山)
南家 瀬戸熊直樹 (TEAM雷電)
西家 鈴木たろう (赤坂ドリブンズ)
北家 中田花奈 (BEASTX)
この第1試合、最初の主導権を握ったのが、直近5試合で全連対と絶好調のドリブンズたろうだった。
東2局1本場、配牌からドラ赤である程度形がまとまっていた勝負手をしっかりと仕上げ、のリーチに辿り着くと。
これを、が3枚見えてワンチャンスになったところで中田から討ち取る。
8000のアガリ。
続いてもってきた親番東3局では、ダブをポンして1000オールのツモアガリ。
この局はこの打ちがなんともたろうらしい。
567の三色か、ダブ東で打点を見た切りだ。が3枚切れになったことにより、切りやすかったのも大きかったか。
東3局1本場
そこに続いたのは瑠美だった。
淀みなくチートイツのテンパイを入れ、単騎でのリーチ敢行。
ここに、瀬戸熊が飛び込んでしまう。
ドラが暗刻になってはこのも止めようがない。
瀬戸熊に追い打ちをかけるような、裏ドラ2枚の12000。
ただ、今シーズン厳しい戦いを強いられている瑠美が、これでたろうを捲ってトップ目に立った。
南1局
4着に沈んでしまっていた中田が、ドラのをポン。
ただ、まだ形は苦しい。
これを見て、たろうの打牌選択が面白い。
ここからたろうが打ったのは……。
なんと。
自分のアガリは遠のく一打だ。
そしてこれが、ドラをポンした中田の急所だった。
もちろんチー。
たろうの狙いは、これだった。
ドラをポンした中田の、手を進めること。
現状ライバルは、自分より1000点上にいる瑠美だ。
その瑠美が親の今、中田に2000、4000をツモられることは自分にとって悪くない。
もう一度、たろうの手を見てみよう。
中田にドラのポンをされた時点で、この手をアガリまで導くことは難しく、であれば、次善の策として、2000、4000をツモってもらおうというのが、たろうの狙いなのだ。
これが見事にハマる。
中田が手を進めて2000、4000のツモアガリ。
瑠美とたろうの着順が入れ替わる。
麻雀というのは常に自分がアガれるわけではなく、むしろ局の大半は、自分のアガリではない結果で終わることが多い。
だからこそ、強者というのは常に『次善』を考えている。
自分がアガれない時に、どういう結果を導きたいか。