選択の連鎖が導く解答とは──表裏一体の攻防──【Mリーグ2024-25観戦記 1/17 第2試合】担当記者 小林正和

現状TEAM雷電に対峙するチーム・EX風林火山松ヶ瀬隆弥であった。

この局、松ヶ瀬が危機的な状況に立たされながらも秀逸の一打を見せる。

それは、リャンシャンテンから放った打【2マン】であった。

瀬戸熊は【1ソウ】チーの後、手出し【9マン】からツモ切りが続いている。

ちなみに、この状態において卓上にはある共通認識が一つ存在していた。
それは、仕掛けている瀬戸熊がテンパイ濃厚で打点もそこそこあるという事。

なぜなら、トップ目で迎えたラス前において親が流れても十分に1着が狙える状況ながら2副露。つまり守備力を減らしてまでアガリに向かっているからだ。

仮に、この状態でまだノーテンの場合は
【發】をポンする事はそもそもし無さそう
② 現状の点数のままなら、オーラス一番条件の軽い太でさえ跳満・倍満ツモが必要(※そこまで小さな加点に価値はない。)

では何故、松ヶ瀬はそこそこの打点のあるテンパイで待ち構えている瀬戸熊に対して、まだまだ不十分な形から【2マン】を勝負できたのだろうか。

実は瀬戸熊にある条件が存在すると【2マン】が比較的切りやすいのである。それは…

瀬戸熊がターツ選択をする際に、少しばかりの間があったからだ。(※打【8マン】の時)
もし【2マン】【5マン】リャンメンターツとペン【7マン】ターツの比較ならば前者を選ぶのは当然として、カン【2マン】ターツの比較でも後のリャンメン変化をみて迷わずペン【7マン】を選ぶからである。

松ヶ瀬は繊細なアンテナを張り、攻めの糸口を見つけると

終盤に瀬戸熊から8,000の出アガリを決め、雷電に放されないよう価値ある“滑り止め”2着を死守したのであった。

一方で、最後はヒリヒリしながらも“本命志望大学”である10月31日以来のトップを獲得した瀬戸熊。

南3局で松ヶ瀬に振り込んだ【9マン】に対しては

「オリるなら【2マン】【1マン】と切る牌はあったので、放銃した時は少しクラっときましたね(笑)」

と安堵の表情と共に本音を語っていた。

もしかしたらオリた方がトップ率が高いのかも。でも応援するサポーターはそれを望んでいないかもしれない。

普通のトップよりも80,000点90,000点のトップの方が…

「面白いんですから!!」

個人的には、あそこでツモアガリできずロン牌を掴む様子を見ると、まだまだ瀬戸熊の本来の姿ではないのかもしれないと思ってしまった。

それでも、チームが沈みそうで苦しい状況ながらも見事に結果で示したのである。また逆に言うと、悲願の優勝シャーレを掲げる瞬間は久く眠っている“KKT”が発動した時なのかもしれない。

黒沢咲
「トップありがとうー!!」

瀬戸熊直樹
「これで黒沢さんがラーメンの一杯くらい奢ってくれるかなと(笑)」

そして、なんといってもキーパーソンは
季節外れの桜を満開に咲かせる黒沢咲の大きなトップだろう。

彼女の満面の笑顔がチームメイト・サポーターを笑顔にさせ、更なる高みへと押し上げてくれるのだから。

瀬戸熊直樹
「チャーシューも付けて良い!?(笑)」

高柳寛哉監督
「俺もラーメン食べたいな(笑)」

黒沢咲
「えっーまったく!もう!!(笑)」

既にチームの雰囲気は笑顔で溢れていたみたいだ(笑)

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