オシャレ・滝沢に捕まったのである。
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その時の盤面がこちら。
が2枚切れであることを考慮すると、
切りのメリットは
① 形式テンパイを維持できる。
② タンヤオ移行時、堀・瀬戸熊に対して先に危険なを処理できる。
あたりだろう。
ところが①に関しては、まだ7巡残されており、やや時期尚早な印象を受ける。②に関しても、リーチ後の堀・瀬戸熊は現物のみを手出し連打しているので押し返される可能性は高いとは言い難い。
つまり、鳴いた場合は
① 安全牌のを切りつつ、一通の役あり満貫を狙う。
② ドラのを勝負し、片アガリ3,900のテンパイを取る。
の主にどちらかを選んだ方が良かったのではないか──。
本人がこの局を反省点とした理由も、そこにあるのだろう。
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この局を境にアガリが遠退き、ラスへと追い込まれていった茅森。
しかし、どんなMリーガーであっても、反省は尽きないのだ。それでも、こうして表舞台のインタビューで、隠すことなく言葉にする強さこそが実力者の証。強者たちに共通する資質とも言えるだろう。
一方で、この半荘のオーラス“全員集合”の舞台を作り上げた立役者がいた。
その名は…
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ルーティンとなっている頬を叩く仕草。どこか昭和の香りを感じさせるが、それは至ってシンプル。そして、自らを奮い立たせ、応援してくれるサポーターへ鼓舞の意思を刻み込む力強さを持っている。
その姿こそ──。
この日、幾度となく戦い続け、何度も手を震わせていた瀬戸熊直樹であった。
緊迫した場面の連続、その度に込み上げる気迫が指先にまで宿る。だが、迷いはない。
南1局
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トップ目の西家・茅森が勝負所と見て、先制リーチと前に出た局。
よく目を凝らして、ご覧頂きたい。
手牌はタンピン・高め三色の入り目はである。
そして、リーチ一発目を受けた北家・瀬戸熊は
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ドラ無し・ピンフのイーシャンテン。それでも迷いなく、そのを打ち抜いたのだ。
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その瞬間、茅森の目が大きく見開かれる。
まるで暗闇に潜む猫が、予期せぬ動きを前に驚いたかのように──。
僕が連盟の門を叩いた2015年──。
その当時、瀬戸熊直樹という漢は偉大な存在であり、「絶対王者」と称されていた。
三度の鳳凰位獲得を始め、十段位三連覇という偉業を成し遂げると、破竹の勢いで麻雀界を駆け上がっていった。
──今日の対局は、あの頃の瀬戸熊が放っていた“圧倒的な存在感”を感じずにはいられなかった。
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数巡後、今通ったばかりの現物待ちで追いつくが…。
“現物待ち”… そんな陳腐な言葉など全く意味を為さない。
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迷いなく牌を横に曲げ堂々とテンパイ宣言をすると、一発・高めツモ。
卓上に叩きつけられた牌には、まるで魂が宿っているようだった。
例え親リーチが入っていようとも、フリテンという制約があろうとも、瀬戸熊の意思は揺るがない。
南3局
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ドラのを力強く叩きつけ、追いかけリーチを敢行する。
一体、そのエネルギーはどこから湧き上がってくるのだろうか。
その正体を探るべく何度も映像を見返してみる。すると、何気ない一コマにそのヒントが隠されていた。
それは… 冒頭の
実は、この先に続きが隠されていたのだ。