18発目のシリンダー 半年に渡る想いを込めて 引き金を引け #松本吉弘【Mリーグ2024-25観戦記 2/17 第1試合】担当記者 #後藤哲冶

しかしこの勝負は、ギリギリのところで松本が競り勝った。
【3ピン】を捉えて、1300のアガリ。
戦局を大きく動かすアガリではないものの、優の勝負手を成就させなかったことは大きい。

2回の流局を挟み、東2局2本場
【1マン】を引いて来たところで、松本は打【5マン】を選択。
【4マン】が2枚切れ且つ、ピンズを集めているように見える河が2人。
【2マン】は場況が良いと見て、このカン【2マン】を固定。

【4ピン】を引いた後、狙い通りカン【2マン】を引き入れた。
そしてその【2マン】を引いた瞬間、リーチ発声。
淀みない動作で、【6ソウ】を横に向ける。

カン【7ソウ】の場況が非常に良い。
【8ソウ】が一打目の園田は高確率で【7ソウ】を持っておらず、ピンズホンイツ模様の優も同様。
菅原の6巡目【8ソウ】ツモ切りも当然見逃していない。菅原の【7ソウ】保有率も下がっている。
シャンポンと枚数は同じだったが、カン【2マン】を引いた時はこのカン【7ソウ】リーチで曲げることを、松本は間違いなく予め決めていた。

役はリーチのみ。
リーチのみの愚形は、ともすれば打たない方が良いとされることもある。
それでも自信のある待ちなら話は別。
松本の表情には、冷静さと気迫が混在していた。

ホンイツへ向かった優から【7ソウ】討ち取り。
裏ドラが乗らずまたしても1300のアガリだが、感触は悪くない。
果断にリーチへ踏み切った松本に、結果がついてきてくれている。

この後、1000点と2000点の横移動という小場のまま、第1試合は南場へと突入。

南1局
松本に勝負手が入った。
ドラの役牌、【南】が対子。
この手を成就させることができれば、この均衡を破ることができる。

6巡目。絶好の【南】引き。
これで仕掛けまで自由自在。
8000点以上は、確約されている。

園田から【5マン】が出る。
ひとつ、呼吸を置いてチーの発声。
これでテンパイだ。カン【6ピン】の8000点テンパイ。

――撃鉄は起こした。
あとは引き金を引くだけ。
撃ちこめるか。誰も抜け出せないこの均衡状態を打ち破る、8000の弾丸を。

松本の仕掛けに対して、またしても戦闘民族鈴木優が攻め込んで来る。
躊躇なく、ドラの【南】を切った後、終盤でピンフテンパイ。
リーチと打って出る。

松本が祈るように山へと手を伸ばす。
勝ちたい。
この一勝をどうにかとって帰りたいと、心の底から思っているはずだ。

それを打ち砕いたのは、優だった。
ラスト1枚だった【4ピン】をツモアガリ、1300オール。
優の勝負手を松本が摘み取れば、松本の勝負手を優が摘み取る。

遠い。
掴み取れそうで届かない、トップ。

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